百歳まで元気に生きた大叔母が健康の秘訣を聞かれるたびに言っていたのが、「水を飲みなさい」だ。医者からも同様にアドバイスされる。
 日本の厚生労働省の出す目安によれば、成人は一日に約2・5リットルの水を必要とするという。その理由は、人の体からは一日に、尿や便で1・6リットル、呼吸や汗で0・9リットル程度の水が排出されており、それを補うためには同量の水分補給が必要だというものだ。
 といっても、食事の中に約1リットルの水が含まれる。また、体内でも0・3リットルの水が作られているという。これらを差し引くと、残りは1・2リットル。アメリカの料理用の240ccカップでいうと5杯分だ。これを食事時以外にこまめに飲むと足りる計算。が、現実はなかなか難しい。
 近頃、夜寝ているときに足がつることが何度かおきた。医師に相談したところ、「水分不足です」「枕元に水を置いておき、足がつったらすぐに飲みなさい」と。
 「水分といってもアルコールはダメ。利尿作用が強く、飲んだ以上が排せつされます。お茶やコーヒーは、利尿作用があるといってもわずかなもの。気にせずに」とも教えられた。
 実は、日頃親しくしている人がこの元旦から体調を崩した。日々体の動きが不自由になり、一週間後には手が震え始めたので、医師に診てもらうと即入院となった。
 原因が分かって、誰もが驚いた。水分不足による脱水症状で、その結果、体内の塩分濃度が上昇し、血圧が跳ね上がっていたという。
 幸い4日間の入院で脱水症状が改善されリハビリ施設へと移ることが出来たが、真夏ならともかく、「冬の脱水症状」という事実は大きな警告となった。
 年を重ねると、体から水分が足りなくなっても喉の渇きを感じにくくなるという。まずは日本の高齢の両親に、冬でもしっかり水分を摂るようにと電話。次に、自分自身も意識してこまめに水を飲もうと、台所に水差しを置いてみた。
 脱水症の危険は、夏だけではなく、冬にも潜んでいる。皆さんもくれぐれもご注意を。【楠瀬明子】

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