初めて「二世週祭グランドパレードを見る」目的で小東京へ行った。
 これまでは、偶然車で通りかかった時に見かけた、または買い物に出た時、やけに混んでいるなと思ったら二世週祭だった、という程度の経験しかなかった。「海外日系人最大の祭り」に関心の薄い、多くの新一世の中の一人だったのは間違いない。
 LA七夕祭りの会場から歩いて一街に出ると、道路の両脇に場所を確保しパレードの始まりを待つ観衆が見えた。LAPDの白バイによる走行が開会の合図と知り、LA市とコミュニティーとの結びつきを強く感じた。
 戦争に従軍した日系人、各団体の代表や羅府新報「二世週祭特集号」に掲載されていた人々が、徒歩や車に乗って通り過ぎる。拍手をしていると気分が高揚してくるのがよくわかった。
 今年の音頭を振り付けた藤間勘須磨師が登場すると、自分の中の「気分高揚グラフ」が急上昇した。「勘須都」などの上り旗が師の乗る車を先導する。染め抜かれたそれらの旗にまで感動していた。
 勘須磨師はいつもどおりに背筋をすっと伸ばし、赤いオープンカーの後部に座り笑顔を見せた。車が少しスピードを変えた瞬間も師は微動だにしない。踊りで培われた筋力はさすがだ。「100歳の振付師?すごい」と周囲がささやいた。「勘須磨!待ってました!」「勘須磨、最高!」との声も上がった。1世紀を生きてきた師の様子はまさに勇姿だった。
 サンフランシスコやハワイからきた親善大使たちを見ると、ほかの地域にも日系社会が根付き、継承されているのを実感する。
 新一世の団体も多く登場した。神輿や阿波踊りらのグループが打ち鳴らす囃子やかねの音は日本の夏祭りを思い起こさせる。
 青森のねぶたは圧倒的だった。あの迫力はどんなにうまく撮ろうとも写真や映像では伝わらない。実際に行くことの意味をあらためて感じた。
 トイレ事情など、改善する点も少なからずあるだろう。けれども、日系以外も取り込んで行こうとする姿勢に、今年のテーマである「ジェネレーションズ」の深い意味が読み取れた。【麻生美重】

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