「私の長寿の秘訣はよく歩くことかな」。先日取材先で99歳の方にお会いした。しっかりとした足取りで歩き、元気の良い声でこう話してくれた。かつてマラソン選手だったというその人は今も健脚で毎日歩くのが日課なのだという。
 日系社会にはこうした元気な高齢者が多い。羅府新報の紙面でも何度か長寿の人々を紹介してきた。今年は100歳を迎えた人が登場し、その長寿を祝した。
 厚生労働省が行った集計によると、日本の100歳以上の人口が昨年から2014人増の6万9785人となり、48年連続で過去最多を更新した。調査を開始した1965年には、100歳以上の高齢者はわずか153人だったというからその数は大幅に増えている。そう、今まさに「人生100年」時代を迎えようとしているのである。
 となれば高齢者でも働き続けられる社会づくりが必要になる。米国と日本の違うところは、日本には定年制があるが、米国では一般的に定年制がない(パイロットや消防士など一部の職業を除く)。そのためリタイアする年齢は自分で決める。また「The Age Discrimination in Employment Act」により、年齢を理由に働く機会が奪われればそれは年齢差別とみなされる。日本の政府は今後、年金制度の見直しや継続雇用年齢の引き上げなどを通して、高齢者の就労を後押しする方針だというが、いくつになっても人に迷惑を掛けずイキイキと働き続けられる社会になれば理想的だろう。
 こうした動きの中で、日本では100歳以上の人に全額無料の奨学金を導入する大学もでてきた。なんでも50歳以上の学生を対象に、年齢に応じて授業料を免除し、100歳以上なら100%免除になるという仕組みらしい。年を重ねても学び続ける姿勢はいつだって人を輝かせる。
 かつて100歳を過ぎても元気な姿でお茶の間を和ませた双子の長寿姉妹「きんさんぎんさん」がいた。彼女たちの元には世界各国から取材陣が訪れるため、2人は百歳を過ぎてから英語の勉強を始めたという。人生100年時代を迎え、いくつになっても学び、新しいことにチャレンジする精神を見習いたいと思った。【吉田純子】

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