日本語学園協同システム(村方清学園長)は、バレー学園、パサデナ学園、第一学園アーバインと高中学部、そして来年90周年を迎える羅府中央学園の計5校を運営する。最も古い学園は、かつてロサンゼルスの中心部にあった創立107年の「羅府第一学園」。現在は第一学園アーバイン校としてその名を引き継いでいる。1948年の協同システム設立に伴い、LA近郊にあった各学園が加盟。93年までは7校が存在した。
羅府中央学園は小東京に最も近く、この地域の日本語学校を代表する一つだった。
言葉の学習だけでなく、文化を教えることにも注視している。自宅で焼きそばを準備し、授業ではパンに挟むだけにする。「時間がなくても日本独特のあの『焼きそばパン』を教えられるように」と工夫した。「まったく日本語を話せない生徒にもわかってもらえる教材作り、楽しく続けられる授業を心がけたい」と語る。
広場の中央には15フィートの七夕飾りが2竿吊るされていた。学園主任の蔡正子さんによると「仙台の(和菓子製造販売会社)『白松がモナカ本舗』さんからロサンゼルス七夕まつり委員へ寄贈があり、それを羅府中央学園へいただいた」特別の経緯を経ている。子どもたちは風にたなびく色とりどりの和紙に触れ、その手触りを楽しんでいた。
この日は、モンテベロ市との姉妹都市交流で兵庫県芦屋市からロサンゼルスを訪れていた大学生の正木志果さんと八木新之助さんの姿もあった。ホストを務めるエンジェル・ルイスさん、ザッカリー・バーナルさんに付き添われ、3週間の滞在中に二世週祭でのパレード参加やディズニーランド観光などを体験した。正木さんは「英語を勉強しようという気持ちがさらに強まった」、八木さんは「人との交流が楽しい。将来は英語を使った職業に就くよう頑張りたい」と語り、「残りの日程を無事故で満喫できるよう心がける」と口々に述べた。
高学年の生徒はかき氷やたこ焼き作りに精を出した。毎年、学園長がたこ焼きを作るのが恒例で、この日も7月に新しく就任した村方学園長が串を片手にたこ焼き作りにチャレンジした。9日に就任式を迎える村方学園長は小林政子理事長と席を並べて学園の歴史を語るなどし、「協同システムの誇るスピーチ大会や年間の行事を通して、日本文化を継承していくことに努めたい」と今後の抱負を語った。
「中央学園が今あるのは、PTAや保護者の絶え間ない協力のおかげ」と田中さんは感謝を表した。弓削会長はPTA役員としての仕事を「簡単なことではないけれど、誰かがやらなくては」という思いで続けている。
生徒が楽しく学ぶ環境を作るのは周囲の大人の役割でもある。PTAや教師らが縁の下の力持ちとなって、日本文化を引き継ぐ世代を育む。文化はその国の言語習得があってこそ正しく継承される。羅府中央学園はその大役を担っている。