マクナイト道子さん(左端から)と前会長のシャテル英子さんから奨学金を授与された古堅さん、石原さん、ストライテンベルガーさん、タンさん

 女性教育の向上、日米文化の交流、地域社会への貢献を目的に活動する「AAJUW(American Association of Japanese University Women)が1月27日、モンテベロのクワイエットキャノンで年次総会および奨学金授与式を開催した。総会では今年就任した阿岸明子会長と新役員の紹介が行われ、親睦会では4人の奨学金受賞者の表彰のほか、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)耳鼻咽喉科・頭頸部外科の石山明教授が講演を行った。【吉田純子、写真も】

 新年親睦会では毎年奨学金授与式を行っており、未来を担う有望な女性に奨学金を授与している。
 今年奨学金の受賞者に選ばれたのはカリフォルニア州立大学ロングビーチ校4年生の古堅ヘレン美佐さん(栄養・食品学)、カリフォルニア大学バークレー校(UCB)博士課程の石原みやびさん(統計学)、カリフォルニア大学サンディエゴ校3年のティファニー・ストライテンベルガーさん(コンピューター科学)、ロヨラメリーマウント大学4年生のベロニカ・ローズ・タンさん(心理学)の4人。
 それぞれは現在学んでいる専門分野を会員の前で発表し、今後、コミュニティーのために貢献できる人材になれるよう邁進していきたいと抱負を語った。
 ストライテンベルガーさんは神戸で生まれ、3歳の時にカリフォルニアに移り住んだ。カリフォルニアは地震、日本は津波が懸念されている場所。現在は地震のパターンなどの研究をしている。こうした研究を通して自身の由縁のある日本とカリフォルニアの役に立ちたいと話した。
 石原さんは、尊敬する教授の「社会を構成するひとりとして、統計学を通して貢献したい」との言葉に感銘を受け、自身も「統計解析をもっと使えるようになり社会に貢献したい」との思いを胸に研究にいそしむ。世界各地で想定外の自然災害が多発する昨今、自然災害のメカニズムをより詳しく知るための統計の解析方法や衛生画像を用いてその地域の自然環境などをモニタリングする研究を行っている。
 栄養・食品学を学ぶ古堅さんは父親が沖縄県出身の日系2世。母親の影響から栄養士を目指すようになったという。さまざまな国の文化、多様な人種からなるアメリカで、栄養士としてそれぞれの人々にあう健康的な食を考え、そして近い将来は、日本食についても学びたいと抱負を語った。
 タンさんは大阪に留学し日本文化に魅了された。音楽心理学、アジアン・アメリカン心理学についてもリサーチし、どのような音楽がネガティブな気持ちを和らげることが出来るか研究している。将来は大学で心理学を教えられるようになりたいと語った。


国際交流と医療支援について講演した石山教授
 その後行われた講演ではUCLA耳鼻咽喉科・頭頸部外科の石山教授が国際交流と医療支援について話した。石山教授は内耳疾患の研究をしており、UCLAの国立側頭骨研究所で指導している。世界で耳の病理ができるのはUCLAとハーバードだけだという。
 石山教授はまた国際アルメニア医療資金の副会長を務め、これまでに120人以上の子どもや若者の人工内耳の手術を行ってきた。
 近年では新生児聴覚スクリーニングにより生まれたばかりの赤ちゃんも難聴があるかどうか分かる時代。「早期に難聴を診断し、人工内耳の手術をすることによって、子どもたちが正常な聴覚を持って生まれた子どもと同じように言語発達が出来る時代。克服できる障害なのです」と話し、メンバーらは興味深く同教授の講演を聞いていた。
 最後を締めくくる演奏会ではコーラスグループ「森の会」が早春賦、宗谷岬、希望のささやきを披露し、歌い美しい歌声で会場の人々を魅了した。今年会長に就任した阿岸氏は「日米の懸け橋になるような若い世代を呼び込みたい」と抱負を語った。

コーラスを披露した「森の会」のメンバー

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