新チームに移籍しプロ20年目へ心機一転、自身2度目の全米制覇を目指す鈴木(中央)
 女子アメフト界のレジェンド、鈴木弘子は本場のプロリーグ挑戦のため2000年に渡米し、日本人初のプロとしてキャリアをスタートさせた。優勝を求め、フロリダを皮切りにアリゾナ、ペンシルベニア、カリフォルニアのさまざまなチームを渡り歩いた。12年サンディエゴ・サージで、念願の全米優勝を果たした。ようやく目標が叶い引退を考えたが、翌年のワールドカップ米国代表に選ばれ(国籍の問題で出場できず)たため、モチベーションを維持し競技を続行。16年にはロサンゼルス・ウォリアーズのチームオーナーに就任、選手との「二刀流」に挑んだ。

23日のプレシーズンマッチで、最終調整に努めた鈴木
 オーナーとしてチームづくりを一からする一方で、リーグ最年長スタータープレーヤーとして、全身全霊をかけて全米優勝への3年計画を立てた。運営とプレーを両立させチームを引っ張り目標とした3年目の昨年、決勝まで進んだが敗れ「私の中では、全てにおいてやりつくした感があって、アメリカンフットボールの全てから引退しようと思っていた」と振り返る。
 その全米王者決定戦が終わるとすぐに、新リーグ設立の話題が持ち上がり、鈴木がオーナーを務めるチームの引き抜きのオファーを受けた。だがチーム内で話がまとまらず、結局チームは解散し自身も引退するつもりでいた。そこに、元同僚でサンディエゴのチーム「レバリオン」のオーナーから選手として誘いを受けた。新リーグの運営に女子アメフト界の未来を見出した鈴木は「とても興味があったので、もう1年頑張って選手を続ける力が沸いてきた」と、入団を決断した。
 今季発足した「WNFC(Women’s National Football Conference)」は、昨年属したWFAから移籍した強豪14チームから成り立つ。アディダスがスポンサー
センター鈴木(中央)と10年以上共にプレーするQBニンジー(後方)との呼吸はぴったりと合う
となったことから「20年間変わらなかった女子アメフト界が、やっと何かの形でよい方向に向かって行くのではないか」と、鈴木は期待を寄せる。
 オーナーとしての3年間について鈴木は「一番たいへんだったのは人間関係。50人近い選手をまとめていくのは本当にたいへんで、ストレスでしかなかった」と吐露。「でも今年は、選手に専念できる。ストレスがまったくないので、練習が楽しくて、開幕が待ち遠しい」と笑顔で話す。
 鈴木のレバリオンの開幕戦は、同じサンディエゴの古巣サージと敵地で4月6日(土)午後5時キックオフ。ロサンゼルスでの試合は今季は5月18日(土)の1試合のみ。プロ20年目の今季もセンターのスターターとして、日本時代から変わらぬ背番号「79」を付け「一つでも多くのタッチダウンを決めるべく、チームを引っ張っていきたい」と意気込む。
 リーグのホームページ―
 https://www.wnfcfootball.com/
4月6日の開幕戦に照準を合わせ練習する鈴木

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