イチロー・セレブレーション・ナイトとして9月14日夕、シアトル・マリナーズの本拠地Tモービル・パーク(旧セーフコ・フィールド)でイチロー引退セレモニーが行われた。
 当日は、イチローグッズ、マリナーズグッズを身に着けたファンが早くから集まり、球場は近頃にないほどの熱気に。私達夫婦の前列では日本からの若者3人がカメラを構え、真後ろに座った大阪からのご夫婦は、「イチロー、ありがとう」と記した大きなサインを携えていた。
 グラウンドの関係者とスタンドのファンが待つ中、ユニフォーム姿でイチローが登場すると、総立ちの観客に応えるようにスピーチは通訳を介さずに英語で始まった。
 ―日本から初めて野手としてきた小柄で細身で無名の選手をシアトルのファンが温かく迎えてくれ、ずっと応援してくれたことへの感謝。2001年の初日から2019年の現役最後の日まで、毎日同じ情熱を持ち続けて来たことへの誇り。そして、球団の若い選手たちには、プロとしての自覚を持って初日からシーズン最後まで情熱をもってプレーしてほしいとの願い…。レッツ・プレー・ベースボール!の言葉で挨拶が締めくくられると、スタンディングオベーションが続いた。大阪からの奥さんは「涙が出てしまう」と目を抑えている。
 2001年のマリナーズ116勝への貢献に始まり、シーズン最多の262安打やプロ野球日米通算4367安打という驚異の記録を保持。打って良し、走って良し、捕って良しのプレーでファンを喜ばせたイチロー。私も、野茂・イチローの初対決にワクワクした日や、守備に着いたイチローを見ようと外野席に座った日のことなど、色んな場面が思い出された。
 続いて行われたホワイトソックスとの試合は、延長の末、さよならホームランでマリナーズが勝利。試合中、ユニフォームを脱いだイチローと妻弓子さんの観客席での姿が大スクリーンに映ると、イチローの現役選手引退をいやでも実感させられた。
 イチロー、ありがとう! これからも、あなたの信じる道を真っ直ぐに進んで下さい。【楠瀬明子】

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