礼文町は進行する高齢・過疎化問題に直面している。町立の同校も全校生徒わずか30人と規模は小さい。その対策としての米研修は、いわば切り札。グローバルな視野と豊かな国際感覚を持つ若者の育成を目的とし、期待を込めた未来への大きな投資として研修費用は町が全額負担。生徒は帰国後、研修の成果を全校生徒と教育委員会の担当者に向けて発表し、町の発展に役立てる大切な役目を担う。
礼文高は北海道教育委員会から地域の特色を生かした教育(海釣りなど野外授業や米国での語学研修など)が認められ、道外から初めて生徒(最大12人)を募集することができるようになった。全国から受け入れる体勢を整え、今夏には東京と大阪、名古屋、福岡で学校説明会を開き、礼文島の大自然や魚介類などのおいしい食べ物、島民の心の温かさに加え、米研修に高い関心を持った参加者もいたといい、来春の入学式が待ち望まれる。
ホームステイで生きた英語を学びながら、精力的に各所を回っている。地元の学校4校を訪れ授業を見学し、ランチをともにするなどして同年代の生徒との触れ合いを楽しんでいる。全米日系人博物館、日本総領事館などを訪問し、ハリウッドとラスベガス観光を通し、見聞を広め大きく成長。訪れる先々で歓迎を受け、自己と島の紹介をする英語でのプレゼンテーションは「発音がよく、とてもいい」などとほめられ板についてきた。19日夜には、島の期待を一身に背負った両校の姉妹校締結調印式にも臨み、「歴史的瞬間」の目撃者となる。
佐々木望彩さんの研修参加の動機は「アメリカの人々や生活習慣・様式、文化などの特色を知り、日本との違いを知りたいと思ったから」と話し、当地の食べ物や建物、家の外装、内奏を興味深く見ているという。研修について「経験を生かして、自分と島の将来のために役に立ちたい。(具体的には)島にもっと多くの外国の方を呼ぶために頑張りたい」と、力強く語った。