軽快な囃子の太鼓や笛の音に釣られて跳ね出す子供たち
 青森のねぶた祭りを伝承する「ロサンゼルスねぶた囃子保存会」(豊島年昭会長)は17日、LACMA(ロサンゼルス郡現代美術館)の中央広場で中型ねぶた「公時」を展示した。囃子の演奏に合わせ、ハネトが元気よく跳ね「ラッセラー」と叫ぶパフォーマンスを4回にわたって行った。来館した見物人から大きな拍手を浴び、今年の活動を締めくくるハリウッド・クリスマスパレード(12月1日夜)へ弾みをつけた。

ハネトに誘われ、笑顔で元気よく跳ねる女の子
 ねぶたの展示は、同館の依頼に囃子保存会が応えたもので、現在開催している動物をテーマにした日本美術展「Every Living Thing: Animals in Japanese Art」に合わせて行われ、展示の盛り上げに一役買った。
 展示した公時は、同会が所有する2台のねぶたうちの1台で、2017年に青森から竹浪比呂央ねぶた師ら職人を招き小東京の青森県人会館で制作した。主人公の坂田公時の幼名は金太郎。その金太郎が大きな鯉を捕まえようとする作品が同展で飾られている。ねぶたには金太郎が成人した公時と並んで黄金の鯉が池の中から勢いよく飛び出しており、展示のテーマにぴったりと合うことから招待を受けた。
 ねぶたは広場の真ん中に展示され、来館者が囲んで写真を撮るなどした。各パフォーマンスでは約300人が見物し、太鼓と笛、鉦の音とともにハネトが飛び跳ね、本番さながらの熱のこもった演技を披露した。「ラッセラー」の掛け声に、観衆も応えて叫んだり、釣られた子供たちが跳ね出し盛り上がった。
 イングルウッドに住むマック、キャロリン・ビロップスさん夫妻は、日本美術展を鑑賞した後に、ねぶたの展示について知ったという。マックさんは「初めてねぶたを目にし、色使いがとても芸術的で感動した。大きな太鼓の演奏も素晴らしかった」と話した。キャロリンさんは「ハネトのドレスが、とてもカラフルできれいだった。ヘッドピース(笠)の飾りが美しく気に入った」と語った。ねぶたは夜に映えると説明を受けたため「ハリウッドパレードを絶対見に行く。ねぶたが光り輝いて今度は動いてる姿を見るのを楽しみにしたい」と口を揃えた。
ねぶたを展示して、囃子の演奏に合わせて跳ねるハネト
 囃子保存会の豊島年昭会長は「このような有名な美術館から声をかけてもらい、ねぶたの展示に加えお囃子とハネトまで参加させてもらいとて光栄」と喜んだ。いつもの路上でのパフォーマンスと異なり「広場ではお客さんが近くて目の前にいるので違った雰囲気の中で、応援してもらい意気投合できた」と満足した表情で話した。毎週末、練習を重ねてきた囃子について「今日は本番のリハーサルを兼ねる事ができた。ノリがいいお客さんに喜んでもらい、ハリウッド・パレードのいいプロモーションにもなった」と述べた。
 LA囃子保存会のハリウッド・パレード参加は、今年で5回目。今年は、2015年に青森県人会館で制作した「義経」を運行する。始点の道路に張りつめられたレッドカーペットを通り3・2マイルのルートを練り歩き、10万人を超える観衆の前で日本の伝統文化を披露する。保存会の100人以上のメンバーに加え、青森と東京各所のねぶた会のメンバーが約50人が囃子とハネトとして約参加し交流を深める。青森からは青森市と六つの大学、商工会議所で構成する「青森市産官学連携プラットフォーム」とLA囃子保存会と交流するねぶた会の「菱友会」の各メンバーが含まれる。
 ねぶたの運行には、ボランティアを必要とし、フロートと太鼓、音響機材の各台車の引き手と、その他のスタッフを募っている。また、ねぶたの回りで「ラッセラー」と叫びながら元気に跳ね、囃子とともに盛り上げるハネトを募集している。
 ねぶたのボランティアとハネトの登録は、ホームページ―
 www.lanebuta.com
【永田潤、写真も】
囃子とハネトのパーフォーマンスを見物する大勢の来館者

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1 Comment

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  1. 竹浪先生にお供して、2007年のねぶた初遠征以来、LAねぶたの制作を見に行っております。LAの皆様のご努力で年2回のパレードが定着し、盛大に発展した様子を知り感無量です。今後の御発展を期待しております。なお、竹浪先生のお名前は「比呂央」です。