アカデミー賞の前哨戦とされ、年に一度、1月に開かれるゴールデングローブ賞の授賞式。そのアフターパーティーに行ってきた。
 映画関係者やセレブリティーが一堂に会す華やかな様子がテレビ放送されるこの映画賞は、「ハリウッド外国人記者協会(HFPA)のメンバー(会員約90人そのうち日本人3人)によって選ばれる。
 日本人会員の一人から半年前に招待を受けていたが、ドレスコードに合った服を準備できないまま年末を迎えた。わが家のおしゃれ番長である次女を雇ってショッピングモールをウロウロすること数回。娘の指示に従い何枚も試着したがアラフィフの平たんな体形に合う服は一枚も見つけられず。娘に隠れてこっそり試着室に持って入った革ジャンだけが似合ったというありさまに娘が苦笑いを浮かべたのは言うまでもない。
 無難なワンピースを購入し迎えた当日。愛車のミニバンではなく、エコに関心の高い業界関係者のお眼鏡にかなうハイブリットカーを夫から拝借して臨んだ。ところが会場のビバリーヒルズ・ヒルトンホテル周辺は通行止め。別の駐車場に誘導され、そこで厳重なセキュリティーチェックを受けシャトルに乗り換え移動。その後もこわもての黒服が居並ぶ検問所をもう一度抜けてようやくホテル内へたどり着いた。パーティーへ進む列にようやく並ぶもカオス状態を仕切るセキュリティーによりまたも足止め。ふと横を見ると、もう一人の日本人会員であるNさんも一般人の私同様に止められている。異様な厳戒態勢である。ようやく潜り込んだ会場は人もまばらでセレブのいるような雰囲気はまったく感じられない。招待してくれた知人は主催者側で多忙な中「会場に入れましたか」とテキストをくれた。聞けばこの状況はすべてイランと米国の緊張が急速に高まったことが原因だった。
 ちなみに授賞式に出席した旧知の編集者によると、利用したウーバーの窓やトランクは全開にさせられ、合計6匹の警察犬にクンクン調べ上げられたそう。きらびやかな別世界を楽しむのも一苦労。世界平和が一番と痛感した夜となった。【麻生美重】

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