柳井氏の寄付金は、同校の人文科学部への個人からの寄付としては、過去最高額という。これまで30年間にわたり、同校におけるさまざまな文化プログラムの推進と、資金提供に寄与してきた国際交流基金が実施する特定寄付基金制度を通じて実現した。柳井氏には2014年にも250万ドルを寄付しており、それにより日本屈指の名門大学である早稲田大学と同校が連携し「柳井イニシアティブ」が発足した。同イニシアティブは、両校による学術・文化事業を支援するとともに、学生と教授の交流を推進してきた。今回の寄付により、同イニシアティブの永続化が可能になったという。
同校のジーン・ブロック総長は、次のように述べている。「柳井氏は、世界を舞台にキャリアと文化の両面で活躍できるグローバル人材の育成に、長年尽力してきた本校の取り組みを評価してくれたのだと思う。柳井イニシアティブは、本校に長く、大きな影響をもたらすことだろう」
柳井氏は、次のように述べている。「この5年間、本イニシアティブを通じて、独創的かつ画期的な学術・文化事業が数多く実施されてきたことを、大変素晴らしく思う。今後、常設のプログラムとして運営されることで、世界における日本文化学をどのように変えていけるのか、非常に楽しみである。同時に、今回の寄付を通じて、人文科学の重要性が再認識され、多くの人々に再び、人文科学に関わりを持っていただけることを願っている」
なお、今回の寄付に併せて「Humanities Centennial Match」および「UCLA Centennial Scholars Match」からも、日本文化学などの分野を専攻する同校大学院生を支援するための補助金が提供されることが決定している。
同校人文科学部のデイビッド・スカバーグ学部長は、次のように述べている。「柳井氏からの寄付は、人文科学に関わる学者・学生・関係者が注目する分野への、将来を見据えた先見的な投資である。同氏の寛大な厚意により、本校は、今後の日本文化学の研究と教育を先導し、何世紀にもわたり人々の心をとらえてきた日本の豊かな文化に対する関心を、よりいっそう高めていきたいと思う」
スカバーグ学部長は、今回の寄付により、同校と早稲田大学の連携がいっそう深まると考えている。
柳井氏から贈られた前回の寄付金は、奨学金、シンポジウム、講義、学術ワークショップの財源に充てられたほか、日本政府より人間国宝に認定された狂言師・野村万作氏を招いて5日間にわたって開催されたイベントや、パルムドールを受賞した映画監督・是枝裕和氏の映画回顧展、20世紀前半に活躍した、無声映画の上映中に伴奏音楽に合わせて映画の解説を行う弁士の話芸を、ロサンゼルス市民に紹介したイベント「The Art of the Benshi」など、さまざまな文化プログラムに活用された。
エメリック教授は、次のように述べている。「この5年間、柳井氏の寛大な寄付により、本校や米国国内のみならず、世界でも、学生と日本文化学にとって大変有意義な活動を行うことができた。ロサンゼルスで企画した大規模な文化イベントには、数千人規模の参加者が集まった。これらがほんの序章であったとは、夢にも思わなかった。関係者一同、柳井氏の厚意、先見の明、そして日本文化へのコミットメントに心から感謝している」