新型コロナウイルスが猛威を振るっている。
最新のニュースが発表されるたびに感染患者の数と死者の数が増えている。
今から11年程も前のことだがスワイン・フルーがまん延して、まだ終息を見ないころ、友人2人と日本を訪れた。旅の半ばで1人が発熱、腹部が腫れて痛みと吐き気を伴い、まだ夜も明けきらない時間帯だったが、入院先を探してあちらこちらへ電話をしてもらったが、「アメリカから訪日中で、急に熱が出て…」と症状を説明した途端に「今空きのベッドが無いので」「スワイン・フルーはうちの病院では受け付けていないので」などと病名も判明しないうちに、いろいろな理由で4つの病院から受け入れを拒否されたことがある。
東の空が白むころ、やっとS県立病院が「すぐに病院へ来るように」と言ってくれた時のうれしかったことを思い出した。
結果は腹膜炎になる寸前の虫垂炎だった。入院1時間後には緊急手術が行われ、3週間余の入院の後、友人は無事にシカゴへ戻ることができたのだが、もしあちらこちらへ電話をかけているうちに手遅れになっていたら…と考えると、恐ろしくなる。
職場でも季節柄風邪がはやっており、1日、2日休んでは職場に戻るとまたぶり返して今度は1週間も病欠と言うケースが多く、「みんな若いのにだらしがない、シニアの私が頑張っているのに…」などとうぬぼれていたらとうとう人並みに風邪で2日間休んだ。
これでも膝の手術以外では、ここ10年ほど病気欠勤をしたことがなかっただけにわれながらショックであり、老いの衰えを否定できなくなってきた。
そのために毎年フルーの予防注射を受け、ひとり暮らしの食生活にも気を付けているつもりだが、どうやら寝不足と疲れがたまっていた弱みに付け込まれたらしい。
「もともとシニアの癖にフルタイムで仕事なんかしているから…」という陰の声も聞こえてきそう。
自分は大丈夫などとはゆめゆめ思うこと無かれ。
当分旅行に出る予定もなし、コロナウイルスの危険性からできるだけ距離を置いて、謙虚な態度で(?)不眠症を克服する術を考えている。【川口加代子】