世界中でどの国が一番、「Inclusiveness」(包容度)があるか—。カリフォルニア大学(UC)バークレー校の研究機関「他人化・帰属化研究所」が各国の「包容度」を調査した結果を公表した。性別、人種、民族、宗教、性的指向を尺度に世界132カ国がマイノリティー(社会における少数者)をどう受け入れているかをランク付けした報告書だ。各国の「包容度」をAランクからDランクまで五段階に分けている。
 Aランクは、トップのオランダを「100」にスウェーデン(82・53)、ノルウェー(80・68)など26か国。日本(59・93)はアジアでは唯一、Aランクに入っている。アメリカは44・38で64位(Cランク)。中国は36・57で91位(Dランク)。韓国と北朝鮮は調査データ不足で対象から外されている。
 アメリカではセクハラ訴訟が相次いでいる。黒人やラティーノに対する逮捕率や刑務所収容率の高さは異常としか言いようがない。中国はチベット民族弾圧や言論統制から「独裁国家」のレッテルを貼られている。
 それに比べて日本はどうか。男尊女卑は職場でも依然として残っている。LGBT(性的指向少数者)を白い目で見る傾向が一掃されたわけでもない。だが、日本に帰るたびに思うのは、「毛色の変わったもの」にも分け隔てなく、接してくれる「おもてなし」ぶりだ。
 日本政府チャーター機の第一便で中国・武漢市から帰国した邦人たちが12日、悪性コロナウイルスの再検査で「陰性」が確認され、強制的に滞在を強いられていた千葉県勝浦市のホテルから帰宅の途についた。ホテルを出る際、数百人の地元住民は大きく手を振り、「お疲れさまでした」と書いた横断幕を掲げて見送った。異国から帰国したばかリの邦人たちは「感謝の言葉もない。ありがたい」と涙したという。UCバークレーの報告書が指摘した日本人の「包容度」の高さを立証した出来事だ。【高濱 賛】

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