マンザナ・チルドレン・ビレッジの跡地で発掘作業をするボランティア
 マンザナ国定史跡が取り組んでいる「コミュニティー・アーケオロジー・プログラム」が、このたびアメリカ考古学協会(SAA)の「2021 アワード・フォー・エクセレンス・イン・パブリック・アーケオロジー・プログラミング( Award for Excellence in Public Archaeology Programming)」を受賞した。

マンザナ国定史跡調査に参加しているボランティア。参加者数は数百人にも上り、一般市民が積極的、長期的に関与している
1934年設立の同協会はアメリカ大陸の考古学遺産の研究や解明、保護などを目的とした国際組織で、プロ、アマの考古学者をはじめ、考古学専攻の学生、アメリカ先住民保護関連組織、博物館、政府機関、民間企業などを含む7千人以上の会員を擁する米国最大の考古学専門組織である。米国国立公園局が5日に発表した。
 賞を受けた「コミュニティー・アーケオロジー・プログラム」は、考古学のアウトリーチや教育において一般市民が積極的かつ長期的に関与できる最も優良なプログラムとして評価されたという。同プログラムでは、2003年以来、地元オーエン・バレーをはじめ米国各地や日本から、これまで数百人にものボランティアがマンザナ国定史跡調査のために参加している。年齢は9歳〜90歳以上と幅広く、その背景も多彩だ。中には、かつてマンザナ強制収容所の孤児院「マンザナ・チルドレンズ・ビレッジ」にいた人やその近親者もいる。小中高校生、大学生、奉仕団体、個人や家族で参加しているボランティアもおり、その多くが毎年プログラムに参加している。
 かつて収容された日系米国人の子供や孫らと協力して策定された同プログラムの目的は、年間10万人のマンザナ国定史跡訪問者が収容所の歴史を知るのに役立つ情報を提供することである。最近のプロジェクトではボランティアが孤児院の跡地や敷地内に埋まっていたおもちゃや哺乳瓶、ベビーベッドの部品をブラシで掘り出して回収した。
 米国政府は第二次世界大戦中に日本人の血を引く12万313人の日系米国人を強制収容したが、戦時転住局が管理していた10カ所の収容所の中でこの施設
米国内や日本から集うボランティアを表した「コミュニティー・アーケオロジー・プログラム」のロゴ。多くの参加者が、歴史を風化させず、より良い未来を作るため、自分の時間をささげている
 は唯一の孤児院だった。新生児から19歳までの100人以上の子供たちが暮らしていた。
 今後もコロナ禍におけるボランティアの安全を確保できる状況が整い次第、収容所の詳細を明らかにするためにプロジェクトを継続していく予定だ。
 マンザナ国定史跡ウェブサイト—
 www.nps.gov/manz
 フェイスブック— 
 www.facebook.com/ManzanarNationalHistoricSite
【訳=砂岡泉、写真提供=マンザナ国定史跡】

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