表白文朗読で登壇したウィリアムズ師は、「この法要には『アジア系米国人先駆者のための全米仏教記念式典』という題目が付いているが、米国の歴史上、ヘイトクライムの標的にされ、殺されたアジア系住民も追悼している」と述べた。祭壇には物故者の碑が置かれ、その中には3月16日にジョージア州アトランタ近郊で起こった連続銃撃事件で亡くなった韓国系米国人のヨン・エ・ユエさん(63)や、1月28日に、サンフランシスコで暴行され亡くなった84歳のタイ系米国人ビシャ・ラタナパクディーさんの名があった。
ホノルルから来訪した大本山超禅寺国際禅道場のクリスティーナ・ムーン師は「精神的な強さ(pāramitā of vīrya)」について語った。羅府新報の取材に対し、同師は「これほど多くの宗派が協力したことは歴史的だ」とEメールで回答した。さらに「この合同法要はアジア人やアジア系米国人に対するわが国の長い反感の歴史を再認識するものでもあった。主催者がこの問題を幅広い層に向けて提起してくれたことに深く感謝している」とつづった。
法要の最後、タイの伝統的な儀式として、僧侶らは仏陀に結びつけられた糸を持ち、別院を後にした。
この法要を企画したウィリアムズ師は「僧侶全員があの糸を持って出ているが、この糸はわれわれを仏陀に結びつけただけでなく、お互いを結びつけている。われわれは一人ずつこの会場に入ってきたが、最後は『共同体』」となって退出した。それがこの糸の真意だ」と説明。また、「この合同法要が、反アジア人種差別に苦しむ全ての人々にとって、癒やしの瞬間となることを願っている」と述べた。
米国では、昨年以降アジア系住民へのヘイトクライムが急増しており、背景には中国起源説が流布された新型コロナウイルス感染拡大があると言われている。
合同法要の様子はウェブサイト(www.maywegather.org/livestream) で視聴可能。
【グエン・ムラナカ、訳=砂岡泉、写真=マイケル・カルロス】