南加から東京に戻って2年と少し、まだまだ出戻り新参者だがコロナ禍に関係なくお上りさん的な感覚で東京を動き回っての最新の印象記である。
東京に住みだすと自分は元々東京生まれ東京育ちのここが故郷だから東京のさまざまな顔や歴史にもなじんでいたつもりだが、子供の時から知っていた地域地域の再発見に加えて、変化を続ける東京の新しい顔も次々と驚きながら発見する。
東京は江戸時代から明治の文明開花の大きな変化の後も明治、大正、昭和戦前までの変遷が目覚ましく、さらに昭和の戦後75年の戦禍からの再建、発展と拡大も実にすさまじい。こん日も都心と郊外の両方で活発な変化を現在形で見続けている。
多彩な顔を俯瞰(ふかん)すると、漁業もある東京湾に始まる湾岸とかウォーターフロントと呼ばれる沿海部から、内陸はまず皇居や銀座、霞ヶ関、日本橋、大手町などの都心部、そして東、西、北に23区の下町から山手へと広範な住宅地区と商業地区が広がる。そこには東京駅から品川、恵比寿、渋谷、新宿、池袋、上野と大型繁華街が昼夜呼吸をし続けそれを数十のさまざまな交通システムがつないでいる。
さらに23区の外には都下を北西に伸びる三多摩地区の郊外地ベッドタウンが続き、その奥は緑深い奥多摩の山岳地帯に続いて、その森林にはツキノワグマも生息している。東京はクマも生息する首都でありこれは世界的にも珍しいらしい。また東京は海から山奥まで広がる中を濃密な交通システムがつないでいて国際比較でもユニークな首都であり大都会と言える。
東京の交通は数十社の電車、地下鉄、バスの大衆交通が緻密な網の目でつながるから便利で、切符は今は共通のプリペイド・カードかそれをスマホに取り込んでスワイプして乗るから昔と比べて格段の便利さだ。道路はと言うと皇居周辺の都心主要道路はゆったり広く立派で欧米の主要諸都市の道路より立派に見える。しかしそれら以外の場所では欧米に比べて道幅が十分でない所が多く、住宅地に入るとどこも道路は狭く欧米のようなゆったり感がなく何とかならないかと感じるがどこももう建物が建ち並びどうにもならない。住宅地の狭い道路を走る車は誰もが慎重にゆっくり走っている。米国から戻った僕は運転する気にならない。【半田俊夫】磁針