7月に刷新した羅府新報のウェブサイト

 1903年、南カリフォルニア大学の日本人留学生3人が、ロサンゼルスに住む約600人の日本人のために1枚のガリ版刷りの新聞を創刊した。1910年には、日本人移民の数は8461人に増え、いつしか羅府新報は本格的な新聞になっていた。
 このたび、118年の歴史を持つ羅府新報社は、「ジョン・Sとジェームズ・L・ナイト財団」の支援を受け、新たな挑戦に向けてかじを取ることになった。
 7月16日、同財団は羅府新報が「SPS(Sustainable Publishing Solutions)助成金」を取得したことを発表。26の報道機関のうち、唯一アジア系出版社として選ばれており、またロサンゼルス地域からは他に該当する報道機関はなかった。
 羅府新報の社長兼発行人であるマイケル駒井氏は、ナイト財団に感謝を述べ「助成金は、当社のウェブサイトの機能を向上に役立てるつもりだ。今回の助成対象に選ばれた全ての報道機関に祝福の言葉を贈りたい。いずれもアメリカの歴史および文化の多様性を体現しており、われわれは彼らと共にあることを誇りに思う」と結んだ。
 今年で2年目を迎えるこの助成金は、ニュース媒体が出版プラットフォームの活用によって読者拡大および収益増加を図ることを目的としており、今回助成金に該当した各社には、新しいコンテンツ管理システム(CMS)の導入や既存システム拡張のために、2万ドルの資金が提供される。
 財団のクリスティーナ・シー氏は、「この助成金により、新聞社や放送局が技術インフラを拡大できる、他にはない機会を得られる」とし、「パンデミックの影響で、出版社は読者のニーズに応える方法を変えるだけでなく、社内での制作の流れを調整する必要があった。助成金はこのような新しい機軸を永続的に実現するために役立つはずだ」と分析している。
 南カリフォルニア在住の日系人を対象にした媒体の中で、唯一生き残っているバイリンガル紙「羅府新報」も、既存のウェブサイトを必要に応じて改善することで、読者と収益拡大を目指し、投資していく。
 助成金選考チームの一員であるゲット・カレント・スタジオの創設者、マイケル・グラント氏は、多くのローカルおよびエスニックメディアの出版社にとって、技術革新を行うことは経済的に困難であると指摘する。「今回の助成金は、現代におけるウェブサイト基準を満たすようなデジタルインフラを整えるためのもの。経済的な障壁を取り払うことで、コミュニティーに必要なニュースをいち早く提供することができる」と述べている。
 助成金を授与された全26社の詳細はウェブサイト—
 https://fundjournalism.org/2021/06/30/sustainable-publishing-solutions-2021/

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