私事で申し訳ないが、わが家に真っ昼間、泥棒が入った。
仕事が休みで家にいた家人が銀行に出かけた2時間足らずの間の出来事。裏の台所のドアを壊して侵入、家中の引き出しやキャビネットなど、手当り次第に開けて中のものを床にぶちまけて、ベッドのマットレスやソファーのクッションの下まで物色したらしい。
連絡を受けて仕事を早引けして帰宅したが、家の中は、小型の竜巻が通過したようなちらかしよう。一瞬、頭の中は真っ白。
警官がきて一応被害届けを出したものの、何を盗られて、何が残っているのか分からない状態だった。鑑識が指紋などを採りに来るのでそのまま家具なども動かしたり触ったりせぬように言われて待つことしばし。
被害は現金が少々、結婚指輪などの貴金属品が数点、使用中の小切手帳が見当たらない。どうやら泥棒はこの「現金少々」が気に入らなかったようで、とことん引っ掻き回して出て行ったが、テレビやコンピューター、カメラなどには手をつけておらず、現金が目当てだったらしい。
この家を買って半世紀、初めての出来事である。
落ち着くに従って見えない加害者に無性に腹が立ってくる。見も知らぬ人間が土足で家の中を歩き回り、家族の名前や仕事先、給料明細から銀行口座、医療関係の書類など、あらゆるプライバシーを侵害して出て行った。怪我人が出なかっただけ幸いと思わねばならないが、被害の大小にかかわらず、この怒りのもって行き場所がない。
家人いわく、「大した収穫にならなかったから、もう2度と入らないだろう。」
冗談でしょう、2度も入られてたまりますか。
さらに気に入らなかったのは、時間をかけてゆっくり現れた鑑識の警官である。「うん、これは取っ手に指をこう掛けて、ホラ、指紋が付かないように開閉するわけだ。まあ指紋採集は無理だね。ここも同じ…、これも多分ダメ…。じゃあ用心しなさいよ。グッバイ」と、一応下げてきた道具箱(?)を開きもしないで帰っていった。TVに出てくるCSIスタッフとは大違い。
職務怠慢! これって税金ドロボー?【川口加代子】