南加日系社会ではこの時期、各地で県人会によるピクニックがほぼ毎週末開かれている。ホテルで着席して昼食を囲みながら親睦を深める新年会と異なり、広い青空の下、屋外でのびのびと体を動かしながら開催されるピクニックは、子供から大人まで3世代が一緒に楽しめるファミリーイベントとして各県人会に長年定着してきた。
 昨年の新年会の時期に、「世代交代、そして・・・」と題して、県人会や日系団体を取りまとめる会長や役員の世代交代が顕著になってきたことを同欄に書いた。「若ければいい」「行事進行を英語にすればいい」ということではなく、それぞれの団体の歴史や趣旨、また日系社会における役割を理解した上での交代がみられ、生き残りをかけ暗中模索していた団体は、ついに長いトンネルの先の出口に光を見たようだった。
 そして今年、団体は世代交代後のあらたな課題に取り組んでいる。それは、日系人と日本人の連帯。
 ある県人会の広報担当者は、日系人でありながら長年日本で生活した経験から、両言語、両文化を理解する。彼女は、「県人会とひと言で言っても、日系人と日本人の間で県人会に求めるものに違いがある」と指摘し、「その(両者の)バランスをどうとっていくのかが存続のキーとなる」と次なる課題を示した。
 日系人にとって県人会とは、祖父母の代に築き上げられた日系史の一部であり、自身と日本を結びつけている場。一方、日本人にとって県人会とは、まさにふるさとを肌で感じられる場であり親睦の場。
 両者の県人会に求める目的は微妙に違うが、一番重要な「日本」というキーワードは同じ。ここを生かして、日本人がふるさとを感じながら、日系人に日本を体験してもらい、日本を知ってもらう場にしていく方向で行ったらどうだろうか。単なる親睦会で終わらせるのではなく、「県人会に行けば、日本(ふるさと)を学べる」という場にしていくことが、日系人、日本人両者が県人会で共存できるバランスかもしれない。【中村良子】

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