大学の構内で発生する性的暴力の多くが報告されない、または正しく処理されていない問題を受け、カマラ・ハリス加州司法長官はこのほど、被害者への対応改善を目的とした対策マニュアルを発表。警察や大学側に協力を求めた。

 ハリス州司法長官によると、学生の5人に1人が性的暴力の被害にあっており、うち80%が警察や大学に報告していないことが明らかになっている。調査によると、加害者10人中9人が再犯であることから、被害を報告しないことは、学生の安全を脅かすことになりかねないとして、警鐘を鳴らした。
 発表された31ページにわたる対策マニュアルには、警察と大学という異なった組織の壁を壊し、互いが協力しあえる手順や、報告の義務、証拠を集め保管する義務はそれぞれどちら側にあるのか、また、生徒のプライバシーを守りながら必要な個人情報をどのように共有するのかなど、それぞれの役割が明確に示されているという。またマニュアルにはさらに、大学、警察に加え、コミュニティー基盤の支援グループなどの協力も示され、被害者の立場に立った繊細なアプローチ、長期的な心のサポートについても推奨している。
 性的被害者の擁護、教育、調査などを行う活動家のサバンナ・バダリッチさんは、UCLAの2年生だった2012年、自身も校内で性的被害に遭った。バダリッチさんは、今回発表されたマニュアルのように被害者の心的外傷を理解し、受け入れ、対応するアプローチの仕方が自身が被害に遭った当時にも存在していれば、大学や警察に事件を報告したと述べ、心的外傷を受けた被害者が報告しやすい制度の確立をあらためて訴えた。
 さらに、7月1日に施行する州の新法により、カリフォルニア州の全大学は、校内で発生した凶悪犯罪、ヘイトクライム、性的暴力などの犯罪を直ちに警察に報告しなければならない義務が発生する。ハリス司法長官は、同対策マニュアルにより、大学側と警察側の連絡が円滑に進むことを期待している。

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