1年を通してさまざまな行事が行われる小東京で、最も賑わいを見せる真夏の祭典が始まった。78回を数える伝統の二世ウィークは、今年も見どころが多い。
 七夕まつりは、10回目の記念。おめでとう。七夕飾りの数がここ数年減っているようだが、気にする必要はない。二世ウィークで、あれだけ多くの参加が見られるイベントは他にはない。作品は量よりも質。作り手が経験を積んだことで、工夫を凝らしたアーティスティックな作品が増えている。数々の力作を見ると、日系社会のさまざまな団体のメンバーや学校の子供たち、会社の社員が、時間を見つけ、知恵を出し合って作った微笑ましい光景が目に浮かぶ。会場を彩る色とりどりの七夕飾りが、そよ風になびくのは爽快そのもの。
 2年前の熊本地震の際は、当地の同県人会などが多額の寄付金を集め、被災地にエールを送った。その「お返し」とばかりに県のマスコット「くまモン」がやって来る。日本で引っ張りだこの人気者は、各所のイベント参加で忙しいが、息つく暇もなく二世ウィークにも来てくれるといいうれしい。
 祭りの中で1度に最も多くの見物人を呼び込むのがグランドパレード。2人のマーシャルをはじめ、各賞に輝いた功労者、日系社会を代表する200近い個人・団体が練り歩く。パレード前夜に戴冠した女王とコートが一般に初お目見えし、クライマックスを迎える。そんな華やかさの陰で、祭りの名称となっている2世の参加が毎年減り心が痛む。
 そのパレードで披露される2曲の音頭を振り付けたのは、2世の藤間勘須磨師。祭りが始まった1930年代から参加しているというから驚きだ。そして、おっしょさんの年を知った人は、みんな目を丸くする。なんと100歳。20歳で日本に渡り修業し、今なお厳しい指導を施すカリスマは「これが最後の二世ウィーク」と、心に決め最後の舞台に臨む。「女の花道」に、大きな声援を送ってもらいたい。【永田 潤】

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です