前日との2日間、小東京とオレンジ郡の会場で14作品以上を招待し行われた映画祭は、ロサンゼルス名古屋姉妹都市60周年ともコラボレーションを実施。名古屋が舞台の「アイコ16歳」(1983年作品)を海外で初上映するため今関あきよし監督が来米し、小東京図書館で行われた関連イベントに出席した。
名古屋に短期留学した高校生2人と関係者、ロサンゼルス名古屋姉妹都市委員会(LANSCA)の照子ワインバーグ委員長も同席。生徒は名古屋を訪れた感想を「味噌カツがおいしかった」「人々が礼儀正しく親切だった」などと語った。
また、映画祭の会場には名古屋の児童生徒による絵画が十数点展示され、来場者らを楽しませた。
授賞式には、今関監督、「赤い雪」主演の菜葉菜と甲斐監督、「銃」の武正晴監督、「天の川」の古新舜監督、「三人の信長」の渡辺啓監督などが参加。観客と主催者が一体になった手作り感あふれる映画祭を受賞者らは「アットホーム」という表現でたたえた。
コミュニティーからも監督、俳優が多数参加した。ドキュメンタリー「夢は咲く」で特別感謝賞を受賞した新井淳蔵監督は、 日系メディア関係者としてコミュニティーでは知られた存在。賞を受け「嬉しい」と感慨深げに感想を述べた。 同作品は、戦後移民の父と呼ばれる内田善一郎と移民家族を描いた60年の物語。新井さんは「日系人の歴史をテーマにこれからも撮り続ける」と抱負を述べた。
「もう一つの明日」(スティーブン・ヘイル監督)には俳優を本業とする池田実行委員長も出演。この作品で「アクターズ・アワード」最優秀助演男優賞も受賞している。上映後にはヘイル監督や共演者と登壇し、Q&Aにも臨んだ。
「4世」主演のカイ・ジョンソンは、日本人の母と米国人の父を持つ日系の若手俳優。テレビやCMにも出演中という今後が楽しみな十代の俳優。ジョン・H・カブラル監督や出演者とともにレッドカーペットを経験し「アワードをもらえてとても嬉しい」と日本語で答えた。
二世週祭との同時開催もできる限り継続し、日系社会との交流を大切にする決意だ。「日系人の歴史は、残念ながら日本人に知られていないことが多いが、彼らの功績があったから、いま私たちはこの国に安心していられる。そのことも映画でより多くの人に紹介できる」
2日にわたる映画祭では、日本から、これまでで最高の40人余りが参加した。長年JFFLAに関わる朝倉巨瑞さんは、日本の映画関係者の参加が増えたことにはっきりと要因を見つけ出しているわけではないとしながらも、「同映画祭の知名度が少しずつでも高まっていれば嬉しい」と述べた。
受賞結果はJFFLAのホームページに掲載されている。
https://www.jffla.org/
【麻生美重、写真も】
