10月22日、天皇陛下の「即位礼正殿の儀」が行われた。台風19号の甚大な被害に鑑み、祝賀パレードは11月10日に延期された。あいにくの雨だったが、正殿の儀式が行われた時間だけは雨が止み、ひと時晴れ間も見られた。招待客は国家元首や国際機関などからの外国の賓客のほか、三権の長や国会議員など約2千人が参列した。正殿の儀式は招待客が見守るなか「松の間」で厳かに行われ、天皇陛下が即位を内外に宣言された。
 陛下の宣言に続くお言葉は、憲法にのっとり、国民の幸せと世界の平和を願い、日本国民統合の象徴としてのつとめを果たす決意を示すものだった。政府の外交姿勢は内外の情勢によって変わるが、日本国民統合の象徴である天皇陛下の「国民の安寧を祈り世界の平和を願う」お言葉は、日本の基本的な行き方を内外に示す上で、外交とは別の次元で大変意味のあることだと思う。日本に皇室があり、各国の皇族や要人と長い年月をかけて築きあげて来た心の通い合う友好関係は、日本の外交を側面から支える大きな力となっている。外国からの賓客はこの儀式に参列したことを長く記憶にとどめ日本への好印象を持ち続けるに違いない。
 上皇・上皇后陛下が30年を超える年月をかけて築き上げて来た友好の絆は、新しい天皇・皇后両陛下が立派に受け継ぎ発展させてゆくだろう。国の内外での公務は多岐にわたり皇族が分担している。その時の心構えや立ち居振る舞いを、身をもって示し統御しているのが天皇・皇后両陛下である。多くの公務を通じて国民に寄り添い、国民の心情を汲み上げ言動に表す。それが国民統合の象徴であろう。
 この儀式をテレビで観ながら、参列した皇族方の高齢と数の少なさに危惧を感じた国民も多かったのではあるまいか。世界でも稀な二千年の一系の皇統を誇る皇室を持続するためにも、女性天皇・女系天皇の是非の議論が提起されるのは必要であろう。時間をかけてでもしっかりと議論し、国民に納得のゆく結論を導き出してもらいたい。11月10日の祝賀パレードは、ぜひ晴天の秋晴れの下で盛大に行われることを願う。【若尾龍彦】

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