先週日本から帰ってきて、まだ戻った実感がない。少し長く滞在したせいだろうか。
 「最近中学生の悩みの中で多いのが、家族のこと。中でもじいちゃん、ばあちゃんと同居する子供に多い。教師も高齢者について勉強する機会があるけど、実際よく分かっていない」と話した中学教師。アルツハイマー病と家族崩壊を考えさせられた一言だった。
 日本の高齢者率は世界最高と高く、田舎に行けばまだまだ高齢者と同居している家族も多い。高齢者の認知症は、2025年には5人に1人がなるといわれ、その症状もさまざま。家族が、現れた症状を「年を取ったから」とあきらめの気持ちで、「仕方がない」と放っておくとどんどん進行して大変になる。アルツハイマー病は脳が委縮していって、ただ記憶障害があるだけでなく、生活に支障をきたしてくる。同じことを繰り返し言ってうるさい、物をあちこちに移動させて探すのに時間がかかる、衛生観念が薄れて不潔な行動が多くなるなど、受験生がいる家庭などは、勉強に集中できない環境になる。子供は「病気からきている行動だ」などと考えられないから、ただただ、じいちゃんばあちゃんが嫌いになる。そういう悪循環を、前述の先生から知らされた。
 アルツハイマー病や認知症という言葉は結構広く行きわたっていても、その実態が知られていないのだと実感した。ずっと高齢者と関わってきた筆者にすれば、逆にそんなに知られていなかったのかと改めて思った。
 弟と認知症の母のことを話していて、「なぜ放っていられるのか」「なぜ介護認定を進めないのか」ともどかしかったが、その必要を「認識できていない」ということが分かるまで、時間を要した。やっと帰国直前に医師の予約が取れて診断が下され、処方薬が出されて一歩前進を確認して戻っては来たが、この先を考えると安心はできない。
 認知症と関わったことがない人たちに、大変さの意味を伝えるのが難しい。「娘だと分かっていたら大丈夫でしょう」とか、「寝たきりじゃないからいいわね」とか言われると、返事に窮する。一気にそこまで進まないし、家族だけの介護に他人が入ることでも、変化するものである。【大石克子】磁針

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です