【川口加代子】 新年のあいさつも下火になり、早や1年の12分の1が過ぎたと思ったら、今年は旧暦の元旦が2月1日、アジア系コミュニティーでは再び正月気分。時を同じくして北京では冬季五輪が開幕、東京五輪と同じくコロナ・パンデミックの真っ最中の開催とあって、参加する方も迎える方も、その気遣いは大変なものだろう。
こちらはもっぱらテレビのスイッチさえオンにすればよい気安さだが、出場選手はもちろん関係者全てがコロナウイルス感染検査を、3度の食事や洗面などと同じくらい頻繁に行わねばならないようだ。
去年の今頃は、自分たちもやっとCOVID19予防ワクチン接種の1回目を受けられてほっとしていたところだったが、まさか丸1年たってもマスクをしていようとは…。
オリンピックになると、いつものABCステーションから、五輪を独占放映するNBCへちゅうちょせず浮気をし、2週間は夜更かしをして寝不足で、日米の選手の活躍に一喜一憂し、この間だけはロシアのウクライナへの侵攻や、北朝鮮のミサイル発射の現状から目をそらして楽しめる。
そんな中でも中国は五輪開催国として、満面の笑みをたたえて参加国を歓迎し、自国がどれほど友好的な国であるかをオープニング・セレモニーで強調、同時に自国の強さ、豊かさ、大きさを誇示することにこれ努めた。メイン会場を「鳥の巣」と呼んでいるそうだが、古い歴史とうらやましいほど豊かな文化を丸抱えしているこの国の国民の多くが、政治家のイデオロギーで人権を侵害されて、巨大な目に見えない巣の中で、その豊かさを享受できていないとしたら…。
これは小さな巣箱でぬくぬく守られている私の余計なお世話。自分の頭の上のハエを追うのが精いっぱいの私が心配することではないのだが、大国が他国への体面を第一義に動くとき、華やかな世界規模のフェスティバルの陰の部分が気になる。
いや私がこの時期差し当たり心配しなければならないのは近く開催予定の「デイ・オブ・リメンバランス」で配布するチラシの類がそろっているかどうかという、些細(ささい)なことでした。