満開の桜とともに新年度が始まった。コロナ禍で迎える3度目の春、前向きでありたいが気分は沈みがちだ。ニュースチェックは仕事に支障のない最低限にして、普通に生活を送るよう心掛けている。
 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって1カ月半。取材者や編集者だけでなく、情報を受け取る視聴者や読者も心に大きな負担を感じていることと思う。
 最近スマホに保存した記事が二つある。ひとつは、ロシア政治が専門の大学教授のブログだ。「侵攻はない」と自信を持って主張していたが現実は起きてしまったという。彼女が知るロシアは消滅し、これまで構築してきた議論も崩壊。「自分の長年の研究は何だったのだろうか、そして人間は戦争を防げないのか、という絶望的な気持ちにさいなまれた」とつづられていた。
 もう一つは、ヨガ関連のメールマガジンに載っていた心理学者の記事。タイトルは「悲しいニュースで心がざわざわ…不安や無力感にさいなまれ苦しくなった時の対処法」。不安になるニュースで心身に疲労がたまりやすい上、長引くコロナによる慢性的なストレス。さまざまな情報に敏感になり、さらに影響を受けやすくなるという。
 対処法は、十分な睡眠や深い呼吸のほか、ぬくもりを感じる、肌触りがいいものにくるまる、(自分に)優しい言葉をかける、日常生活を続ける、など。いつもと違う自分に気が付いた時は、自分に優しい行動を取ることを勧めていた。
 先に紹介した大学教授もブログの最後は前向きな言葉で締めくくっていた。「研究は戦争を止められないが、研究が果たせる役割もゼロではないはずだ」。絶望を感じた自分に優しい言葉を掛け、研究の日常を崩さないよう自身を鼓舞しているようだった。心新たに研究に取り組み世界平和に貢献したいという。
 私は最近ヨガに通う回数を増やしている。勤務時間を見直して、気分転換に桜の写真や動画を撮りながら散歩をする。その共通点は頭の中を空っぽにすること。ニュースやSNSにはざわつく情報があふれているが、振り回されることなく、目の前のことに集中して日常生活を続けていきたい。(中西奈緒)

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