野球で言う「さよならホームラン」を打つチャンスは、われわれの人生に一体何度巡ってくるのだろう。そもそも、この場面を体験するためには、毎試合出場できる健康状態を保っていないといけないし、監督を含め関係者の目に留まるところでアピールする必要もある。だから規則正しい食生活としっかりと睡眠をとり、スタメンに選ばれる体力作りと強靭(きょうじん)な精神力を鍛える。レギュラーの座を取るために、目標と戦略を持って毎日に挑むのだ。
 結果は自分を信じる力、日頃の努力、そして運によって変わってくる。弱気では打てないし、いつでも力が発揮できるよう体をほぐしておく必要もある。さらに相手の投手のコンディションや精神状態など、こちらに有利に流れる運の引きもある。
 そう考えると日々の行いが非常に大切になってくる。食べるもの、会う相手、読むもの、見るもの、それらの蓄積が選手生命を左右してくるからだ。そしてスタメンに起用されたら、チームを勝利に導くために自分の役割を理解し、その時々の状況判断で最高のプレイをする。指示を出す監督やサポートしてくれるコーチもいるが、最後は自分にかかってくる。
 先月、あるプロジェクトでクラウドファンディングに挑戦した。しっかりと準備をして、ゴール達成に向けて仲間と力を合わせてバッカー(支援者)を募った。人様からお金(寄付)を頂くことはたやすいことではない。ゴールは遠い。それでも僕は必ず成功するという根拠のない自信をなくさなかった。
 目標のゴール金額まで75%の達成率で迎えた最終日。相方が「手は尽くした。ダメだったらそれまで」と弱気になった。僕は「最後の最後まで諦めちゃいけない!」と叱咤(しった)激励。気を取り戻した相方は、渾身(こんしん)の力を振り絞り、SNS投稿で訴えた。そしたら、なんとある男性が残りの25%を寄付してくれたのだ。終了まで残り10時間、九回2死というピンチだった。起死回生のさよならホームランは正にチームワークのたまものだと思う。現代社会においてわれわれに必要なものは不屈の精神力、自己管理力、そして信頼できる仲間(コミュニティー)。今日もさよならホームランを狙う。(河野 洋)

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