アメリカで44年間続いてきたFCI(フジサンケイ・コミュニケーションズ・インターナショナル)の日本語放送が3月31日で終了し、長年の視聴者だった私は、朝の番組「ニュースキャッチ」ロスに陥っている。一昔前と違い、今は日本のテレビ番組を当地でも容易に見られるようになったが、FCIのニューヨークチームが取材したコンテンツは在米邦人の視点で制作されていて興味深かった。私たちにとっての身近なニュースを取り上げた「ウィークリー・キャッチ」は、久下香織子キャスターの人柄がにじみ出ていて好きだった。
 FCIで放送されていたフジテレビのニュース番組「めざましテレビ」を見ていた時、最後に流れる「きょうのわんこ」に東京の友人がペットと登場したことがあり、長年途絶えていた交流再開のきっかけをいただいた。また、FCIニューヨーク主催の川柳コンテストで入賞し、大喜びした思い出もある。
 FCIが制作した番組の中で心に残るものは数多い。第2次世界大戦が勃発した混乱期、反日運動に反対し、人種差別と戦い日系人を擁護した当時のコロラド州のラルフ・カー知事についてのドキュメンタリーは今も記憶に鮮明だ。カー知事の政治生命をかけた固い信念と行動力に胸を打たれた。
 また、FCI放送終了の前日に放送されたジョン万次郎のアメリカでの10年を追ったドキュメンタリーにも感銘を受けた。日本の鎖国時代に日本人として初めて渡米し、日本の開国へ大きな影響を与えたジョン万次郎は来年生誕200年を迎えるという。番組では、万次郎少年が通ったマサチューセッツ州フェアヘーブンの小学校跡や、ニューベッドフォードの捕鯨博物館にある万次郎の展示コーナーも映していて、ぜひ一度訪れてみたいと思わされた。
 アメリカ各地に発信エリアを拡大していたらしいのに突然終了が告げられ、報道で大事な「Why(理由)」については言及されず、心にぽっかり穴が空いたような感じがしている。現地で取材された熱意が伝わる番組の記録が、今後も多くの人の目に触れることを願ってやまない。(平野真紀)

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