最近の調査から、コロナパンデミック中のオンライン授業への切り替えで子どもの成績がガタ落ちしたことが分かった。約2年続いた巣ごもり生活は、子どもの精神面にも影を落としている。
 高校3年の息子の幼なじみで親友のD君が最近、自分はトランスジェンダー(心と体の性が一致していない人)だと告白し、女性名に変更してホルモン治療も受けたいと言い出した。まったく予期せぬ突然の告白に親は混乱し、私も理解に苦しんでいる。
 近年、生まれ持った性別に違和感を覚えて、反対の性の名前に変えたり、男女の枠にはまらないXジェンダーを主張する若者が私の周りで増えた。いとこが性同一性障害でその苦痛を知る私は、本人が本当に必要ならば、ホルモン治療や性別適合手術を受けることに賛成だ。でも、D君の場合は明らかにそうではなく、はやりのファッションを追うのと似た印象を受ける。
 D君がトランスジェンダーに傾倒していったのは、特にコロナ禍でひどくなったオンライン漬けの毎日が影響している。オンライン上のコミュニティーではトランスジェンダーを支持するものも多く、ゲームの仮想空間で異なる性のアバターに変身したことで性別違和を初めて感じる若者も多いそうだ。D君も、トランスジェンダーが集まるオンラインゲームに没頭していた。
 学校で友達は何ら違和感なくD君を女性の名で呼び始め、カミングアウトを全面的に後押しするチャットグループには「ストレートでは不十分」と言わんばかりの異様な雰囲気が漂うという。周りのサポートは良い。でも、ホルモン治療などに伴う健康被害や元に戻れない危険性など、重要な事柄についての発言が禁句とされる環境は良くない。
 米疾病対策センターによるとトランスジェンダーを自認するティーンの数は2017年から20年にかけて倍増し、子どもの自殺行為を恐れて性別適合治療に同意する親もいるという。同時に性別違和を抱いた子どもの8割が最終的に治療を受けず元の性別に落ち着くという複数のデータがあり、子どもへの医療の介入に警鐘を鳴らす専門家もいる。
 米国では今年からパスポートの性別欄で「X」が選択可能になるなど、多様な性への理解は進むが、性別違和を抱く子どもへの対応は不十分だと思う。適切な精神衛生面の検査やサポートなどが、コロナ禍を経てさらに必要とされていると感じる。(平野真紀)

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