時計代わりにテレビがつきっ放しというのもレトロな人間の習性かもしれないが、テレビで目にしなければもうすぐ父の日だということにも気がつかなかったかもしれない。バーベキュー用のエプロンとか大型フォークとか、なるほど、これがこちらの子どものお父さんへのプレゼントの定番か。「私の場合は…」と、子ども時代の記憶を掘り起こしてみると、頭にふと「王様のアイデア」という店名が浮かんだ。
生まれ育った東京大田区の「蒲田東急プラザ」の中2階にあった「王様のアイデア」という店はアイデア商品を集めたショップで、液体の中をドロンとしたものが上へ下へと浮遊する「ラバランプ」とか、コップの水にくちばしをつける動きが半永久的に続く「水飲み鳥」とか、通りかかれば飛び込んで、ショーウインドウに顔をつけて夢中で見ていたものだ。「ルービックキューブ」や「カチカチ」を初めて見たのもこの店だったと思う。父の日のプレゼントも「携帯用灰皿」とか、その他もろもろ大変お世話になった。それが父と娘の「距離感」だったのかもしれないが、子どものお小遣いで何かを買おうとした時、母や祖母へのプレゼントならハンカチでも傘でもコサージュでも次々に頭に浮かぶのに、父や祖父となると全く思いつかなかったのだ。
私にとっては救世主だったが、一回り以上年の若い友達に「こんな店あったよね」と話したら、「知らない、私の時は100円ショップが行きつけだった」と言われてしまい、年の差を感じてちょっとガックリ。でも気を取り直して、ググってみたら、王様のアイデアは1965年に開店し、数十店あったが2007年には最終店が閉店…したのだが、なんと「2022年にネットショップで復活した」とある。
即座にサイトを訪問してみると、ある、ある、面白くて「クスッ」と笑いたくなってしまう商品が。「カニカマを刺すとカニカマが本物のカニに見えるフォーク」とか。文章力がなさ過ぎてこの説明では「何のこと?」と思われるだろうが、写真を見れば一発で吹き出してしまう。日本に父が生きていたら贈ってあげたいところ。
家族で集まり、笑いあった日々を懐かしく思い出した。(長井智子)
