米国土安全保障省(DHS)が公式SNSで、日本人アーティストの作品を許可なく使用していたことが明らかになり、波紋を広げている。無断使用されたのは、1980年代のシティーポップ文化を象徴するグラフィックで知られる永井博さん(78)の代表作「Beachcomber」シリーズの1枚だった。

DHSは2025年の大みそかに公式X(旧ツイッター)で、浜辺にクラシックカーが置かれ、岸に向かって波が迫る構図の永井さんの作品を使用。投稿には「国家の平和はもはや第3世界の影響下にはない」との文言が添えられ、画像の説明として「1億人の国外追放が行われた後の米国」と記されていた。
80年代にシティーポップのアルバムジャケットで一世を風靡(ふうび)した永井さんは、この投稿を受けて自身のX上で「アメリカ国土安全保障省に許可なく絵が使われています。どうしたものか」とコメントし、抗議の意思を示した。
この件についてDHSの報道官は、英紙インディペンデントなどの取材に対し、「われわれの職員が『米国を再び安全にする』ために活動する中、米国民に情報を届けるためあらゆる手段を使い続ける」と述べ、使用を正当化する姿勢を示した。
トランプ政権下では、政策や主張を広める目的で、アーティストの作品が無断使用される事例が相次いできた。画家のモーガン・ワイストリング、トーマス・キンケードの遺族のほか、歌手のサブリナ・カーペンターやSZA(シザ)、児童書「フランクリン・ザ・タートル」の出版社が非難を訴え、さらには「ポケモン」のスローガン「ゲットだぜ!」を反移民的なミームに転用したケースも批判を浴びている。
インディペンデント紙によると、DHSは昨年のクリスマスの時季にも、米国のクリスマス風景を映した動画のBGMに山下達郎が83年に発表した楽曲「クリスマス・イブ」を使用し、「私たちは一つの国と救世主に守られている(国家と信仰の両方で守られている)」とのメッセージを投稿したという。
