ドキュメンタリー映画「Unknown: Cave of Bones(アンノウン 洞窟に眠る新たな人類)」をネット配信で鑑賞した。興味深い内容であった。米国人のリー・バーガー古人類学博士をリーダーとする発掘チームが、南アフリカの洞窟で遺骨を発見。25万年以上昔のものと推定される。
 ヨハネスブルグから北西48キロに位置するライジングスター洞窟(ロマンティックな名前だ!)で2010年から発掘調査を開始し、3年後の13年に、主に骨や歯の1200余りの化石を発見した。ディナレディ空洞での出来事だったため「ホモ・ナレディ」と名付けた。22年の再調査でさらなる驚くべき新事実が! 手に石器が置かれた状態で意図的に「埋葬」された痕跡が見つかったのだ。
 現代の人類に至るまでの進化の過程で、共通同類祖先として20万年前(30万年前の説も)のホモサピエンス(現生人類)がいる。進化、分化、絶滅などを繰り返し、多種の人類が存在することが近年の研究で判明し、従来の猿人・原人・旧人・新人などの単純な分類は避けるようになった。
 学問的「ヒト」の定義の基準は、日常直立二足歩行、発達した脳で道具や火を使え、何かしらの言語体系でコミュニケーションができること、などらしい。チンパンジーは道具を使うが直立二足歩行ではないのでヒトに属さない。
 このホモ・ナレディの脳は、今の人間の3分の1の大きさ(チンパンジーよりやや大きめ)で、成人男性は身長150センチ、体重45キロほどと小柄だ。直立二足歩行し、道具や火を使い、グループで儀式的埋葬を慣行した。非常にヒトに似ているがヒトではなく、新種(New Species)と定められた。
 何かしら死後の世界を祈る宗教的発想もあっただろうとバーガー博士は仮説を発表。しかし、強引な飛躍気味の推測に対し、裏付ける科学的証拠が不足していると専門家の間で物議を醸している。そもそも非人類動物にそんな思考と行動が可能なのか?
 やがては科学やテクノロジーの発達で理にかなった解明がなされるかもしれない。「人間はどこから来て、どこへ行くのか?」究極のテーマの謎はまだ続く。(長土居政史)

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