夏は全国盆踊りのシーズン。わが町・花の台町内会の盆踊り大会は7月29日、地元の小学校の校庭が会場。3年間コロナで中止の後の再開だ。
花の台の住民は若く、保育園・小学生の子ども連れが多い。昼の暑さも夜には少し収まり、家族やご近所同士で集まる楽しさにみんな心から浸っている。運営は全て町内会の役員とボランティア。いろいろな職業経験者がいるので人材は豊富。中央のやぐらも、焼きそばや焼き鳥の屋台もすべてボランティア。野球チームやサッカーチームの運営資金稼ぎらしい。プロの業者は少ない。だから焼き鳥100円、焼きそば250円と格安で、子どもたちが楽しんでくれればうれしい。会場の隅には市民からの寄付金が墨で書かれた、市民中心の盆踊り、これが本来の盆踊りの原点だ。
ようやくマスクが取れて素顔でうちわ片手に会場へ。校庭の真ん中のやぐらでは、小学生も混じって太鼓が早々にリズムを奏でている。夕闇が次第に濃くなる空を背景に、ちょうちんとやぐらの上の人たちが幻想的に浮かび上がる光景は絵のように美しく、祭りへの期待を盛り上げてくれる。やがてスピーカーから音頭が流れると、太鼓の音が一段と力強くなる。下では浴衣姿の踊り手が手振り鮮やかに踊り始める。周囲から見物人が1人2人と輪に加わり、さあ盆踊りの始まりだ。屋台に長い行列ができ、射的屋では真剣に的を狙う男の子、綿あめ屋さんには女の子が群がっている。校庭の隅はピクニックシートを広げた家族や友人・ご近所さんのグループでにぎやか。
戦後、多くの人たちが都会へ移り住んだが、正月や盆には里帰り。家族そろってご先祖様のお墓に参り、地域の盆踊りを楽しんだ。こうした節目節目の行事は家族や友人たちとの絆の確認で、子どもや孫が、親族や地域コミュニティーにデビューする機会でもある。いつの間にかそんなしきたりが薄れ、盆や正月休みは家族や友たちとの海外旅行に変わり、個人の楽しみが優先されるようになった。しかし、人生は思わぬことの連続で、良い時もあれば落ち込む時もある。つらい時に損得なしに受け入れ、再び立ち上がる勇気を持たせてくれるのが家族であり、友人であり、故郷である。ここにはその故郷が育っている。
少子化で壊れかけた家族や地域の絆が、地域一体の盆踊りで再生してほしいと願う。(若尾龍彦)
