今月、全米大学スポーツ・カンファレンス(連盟)間でまたまた再編成の動きがあった。
 大学は教育機関だが、ビジネスとして経営しなければ成立しない。資金が必要だ。大学スポーツは重要な収入源で、横綱的存在はアメフトだ。巨大スタジアムの観客入場料や莫大な試合放映権料が得られる。
 太平洋沿岸および西部地域の大学を中心に構成されたPac12が、ついに崩壊、消滅の危機に陥った。すでに脱退発表済みのUCLAとUSCは中西部中心のBIG10に来年正式に移籍。連鎖反応的に、オレゴン大学とワシントン大学もBIG10に移籍発表。コロラド大学に続き、アリゾナ大学、アリゾナ州立大学、ユタ大学が、中西部および南部中心のBIG12に来年移籍決定。置き去りにされたスタンフォードとUCバークレーが大西洋沿岸のアトランティック・コースト・カンファレンス(ACC)に来年度シーズン移籍することを発表。仲間に入れてと懇願したか、収入のシェア率を大幅に下げられての加盟だ。
 つまりPac12からは12校のうち、10校が脱退。完全に取り残されてしまったのはワシントン州立大学とオレゴン州立大学の2校だ。
 108年の歴史を経てきたPac12。ESPNとFOXのTV放映権契約が2023〜24年度で切れる。生き残りをかけて、サンディエゴ州立大学やアイダホのボイシ州立大学などが属するマウンテン・ウェスト・カンファレンス(MW)に移籍か、合併吸収か…? だがMWはグループ・オブ・ファイブ(サブディビジョン)といって、パワー・ファイブ(SEC、BIG10、BIG12、ACC、Pac12)と比べて1ランク下で放映料も限られる。
 最も収入が多い大学アメフトチームはテキサス大学だ。南東部中心のSECから招待を受け、BIG12から来年度移籍する強豪校。絶大なファンサポートで毎試合超満員だ。12年前に開始したESPNとジョイント・ベンチャーでロングホーン(チームの愛称)・ネットワークを自ら所有する。来年度からは元々ESPNが所有するSECネットワークに吸収予定。
 ちなみにESPNスポーツチャンネルの80%はディズニー社が所有。大学スポーツを見るとエンターテインメントビジネスの縮図が理解できる。(長土居政史)

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