以前ブラジルで鳥インフルのために多量のニワトリが殺処分されたとニュースで報じられていた。
鳥インフルに対する有効な予防手段は今のところワクチンだが、一つのウイルスに一つのワクチン。亜種が出るとそれ用のワクチンが必要になるという。まさにイタチごっこだ。何百万羽というニワトリ全部に対応するのは量的にも金銭的にも不可能だというのは素人でも分かる。残念ながら、有効な手段は殺処分ということになるのだろう。
第三者の目から見れば「ああ、もったいない」くらいかもしれないが、養鶏場の持ち主にしてみれば、ビジネスとはいえ一生懸命育てた鳥を殺処分するのは悔しいことに違いない。
先月中ごろのニュースで、鳥インフル感染拡大を防ぐために、ニワトリの遺伝子を改変する実験が小規模ながら行われ、ある程度の効果があったとのレポートが英国の「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表されていた。
この遺伝子操作は鳥インフルのウイルスが増殖するのに、必ず必要とするたんぱく質を改変することで予防できるのではという考えから発展。そのため亜種や別株が発生しても有効な手段となり得るとか。
今のところウイルスが少なければ90%、多ければ50%の成功率だという。このばらつきはウイルスが利用するたんぱく質が1種類だけではなく、構造の似た他の2種類のたんぱく質が代わりに利用されてしまうためということが分かり、これからの研究に期待が持たれる。
鳥インフルもだが、1990年代に発生した狂牛病といわれた牛海綿状脳症(BSE)も、世界中で大問題になっていた。この発生原因や治療法はいまだ不明らしい。しかし、多くの国で禁輸出入を図り、可能性のある動物などを殺処分することで現在は落ち着きを取り戻しているようだ。
鳥インフルやこういった疫病も遺伝子操作や調整で少なくなるのだろうか。ただ、実現しても、消費者が遺伝子操作された動植物を受け入れることができるかどうか。問題はまだ山積みだ。(徳永憲治)
