今年も師走に入った。レギュラーシーズンを終えた大学アメフトは、年末年始にかけボウルゲーム(全43試合)、全米チャンピオン決定戦(準決勝&決勝)が開催され盛り上がる。
連日メディアを騒がすのが、12月4日に始まり来年1月2日までの約1カ月間続く「トランスファー・ポータル」だ。「ポータル」は、玄関、出発点や(ネットで)情報入手&アクセス起点の意味もある。つまり転校(トランスファー)の意志を持つ学生たちが登録するデータベースで2018年に導入されたシステムだ。
以前、転校はまれだった。リクルートされ一度憧れの大学に入学できたら、最低数年間は忍耐強く努力し成長を目指す。
コロナ禍の影響で選手資格が1年延びたことも関連するだろうが、NCAA(全米大学体育協会)は20年に、もし転校したら転校先で1年間試合に出られない制度(「レッドシャツ」といわれるルール)を撤廃したのだ。
コーチとの相性が合わない、補欠で試合に出られない、ホームシックで故郷に戻りたい…多様な要因で転校する選手が極端に増えた。
資格規則が緩和され、選手が自分の居場所を容易に、自由に探せるチャンスが広がったという点では良いシステムになった。19年は転校生1695人、全体の割合で6・4%だったが、23年は2734人、20・5%に増えた。コーチにとっては、即戦力を得られる長所もあるが、安定し持続できるチーム作りが難しくはなった。
もう一つ要因がある。「アマチュアの然るべきルール」を打破し21年、妥協する形で、NCAAは、NIL(Name、Image、Likeness)を導入。現役選手たちが自らの肖像権を利用しビジネスが可能になった。既に億万長者の選手も存在する。大学現役選手で稼げてしまうのだ。NIL法をいまだ合法化していない州もあるので、合法の州で全面的にサポートしてくれる学校から誘いが来れば、特にスター選手は転校したくなる。まるでプロ選手の移籍やトレードのようだ。新世代の学生選手たちは、目まぐるしく変遷する時代に順応する術が必須だ。
中には数回転校する選手も現れたため、NCAAは「2回目は規制する」とし、現在選手側と抗争中である。(長土居政史)
