今年のアカデミー賞は、秀作目白押しの作品賞候補10作が発表された。個人的見解の5段階評価にてレビューする。
「マエストロ その音楽と愛と」3点 名作ミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」を作曲した伝説的作曲家・指揮者レナード・バーンスタインの自伝的作品。妻フェリシアの苦悩がやるせない。クライマックスの6分間指揮シーンは圧巻。
「哀れなるものたち」3点 最も異彩を放つ芸術系実験映画的作品。哲学要素を隠喩として、主人公ベラが未知の世界へ冒険する。人間の真意、幸福とは何かを探る難解なテーマだが…。
「ホールドオーバーズ」3点 70年代を舞台に懐かしさが漂うノスタルジック作品。クリスマス休暇中全寮制高校に残された生徒と先生、さらにコック長のドラマ。ほんのりわびしい生きる試練を描く。
「関心領域」4点 現時点で唯一配信による鑑賞の選択がない作品。よって劇場で見たが、その意図が理解できた。壁一つ隔てた人間の奥底に潜む残酷さを奥深く淡々と描く。カンヌ映画祭グランプリ(パルム・ドール/最高賞に次ぐ)受賞作品。
「アメリカン・フィクション」4点 ロマンスあり、コメディあり、ドラマありの独特な風刺異色作品。人間模様の描き方が面白く、最後は憎いほどうまくまとまる。
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」4点 多少長いが、米国史における暗い過去を真率に披歴する歴史ドラマ。ルーツ、コミュニティー、家族、将来、希望…やるせなさが痛感する力作。
「パースト ライブス/再会」5点 はかないヒューマンドラマ。韓米の恋愛&フレンドシップを描く期待通りの秀作。
「バービー」5点 娯楽を満喫できる映画だが、現実社会への男女不平等の鋭い風刺も描く最高傑作。
「落下の解剖学」5点 カンヌ映画祭パルム・ドール(最高賞)受賞作品。法廷サスペンス・ドラマ。最後まで緊迫の展開が続き、内容的には一番面白かった。
「オッペンハイマー」5点 人類の歴史を語る深刻なテーマを追求する。日本人として悲惨な悲劇に直面し平和とは何かを考えさせられる貴重な作品。
授賞式は3月10日にハリウッドにて開催予定。(長土居政史)
