「ずーとるび」とくれば「ビージーズ」。大の大人がホテルの一室に集まって、お酒を飲みながらしりとりを楽しんだ。みんな音楽畑の人だからか、音楽家の名前が出てくるのだが、その人の育ってきた時代や音楽の嗜好(しこう)が垣間見られ、楽しい2時間は瞬く間に過ぎた。
 「ん」で終わる言葉を言ったらゲーム終了。みんな、この文字リレーが終わらないように、頭をひねらせて次から次へと言葉を絞り出していくが、例えば「トマト」や「しんぶんし(新聞紙)」のように始まりと終わりが同じ文字の言葉を使って、次の人を困らせたり、突拍子もない言葉を選んで、他の人を笑わせたり、このたわいもない遊びは日本にしかない素晴らしい文化だと思う。
 今の時代、スマホで映画を見たり、音楽を聴いたり、ゲームをしたり、見えない相手とチャットしたりするのが主流なのかもしれないが、こうした和やかで頭の体操にもなる遊びができる余裕と仲間は大切だ。そもそも、しりとりをするのは旅の途中の出来事が多い。バケーションでも、仕事でも、長い時間を共有できる人たちと人生の1ページを彩ることができるのは、とてもうれしい。
 昨年も陸路の撮影ツアーの時、長距離の運転をしたが、さすがに睡魔に誘われる。そこで活躍したのが、やっぱり、しりとりだった。王道の眠気覚ましと言えばチューインガムやカーステの音楽だが、小学校の遠足のように、お菓子をつまみながら、和気あいあいと笑いながらのしりとりに勝るものはないと思う。
 近年、SDG’sでサステイナビリティーが取り上げられているが、地球環境のみならず、伝統や文化、歴史などわれわれが継承していくべきものは多々ある。しかし、人間の命には限りがある。社会的には大きな意味を持たないかもしれないが、自分自身もこれまで築いてきたものが少なからずある。そうしたものを、できれば次の世代に伝えていきたいという思いが最近強くなってきた。
 「ん」は助動詞「ない・ぬ」の意。滑って尻もちをつかぬよう、われわれ大人のミッションとして、責任を持って世代交代のしりとりを続けていきたい。(河野 洋)

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