海外に住んでみて感じたことは多々あるが、その一つに海外から見る日本が違って見えたことがある。日本国内に住み日々の新聞やTVのニュースで見る日本は単なる日常生活だったが、海外にはさまざまな人種がおり、関心も考え方も違う。そういう人たちに囲まれて話を聞き、そして日本のニュースを見ると、外国人の見方や考え方、日本国の方針や世論の動きをどう捉えられるのか、などが気になった。
やがて同じ関心を持つ友人たちがわが家に集まって、月1回の勉強会が始まった。目標は高く「現在の社会が変化したら次にどんな社会が現れるか」を目指した。とはいえ自分たちは日本人なので日本とカリフォルニアに関するテーマが中心になる。会の名前は「Japan」と「California」を略して「JACAL」。幅広い議論を行うために会員は1業種1人を心がけ、会則を作った。皆さんも楽しかったのだろう。会は私が帰国する直前まで続き233回を数えた。
夕方、皆さんが車で集まってくる。お弁当を買い、ビールを用意して長方形のテーブルを囲む。名前入りのグラスを用意しているので、まずは自分のグラスにビールを注ぎ、近況などの雑談を交わす。その日のテーマはあらかじめ予告してある。会のマナーは誰かが話している時には真剣に傾聴する。議論が激しても感情的にならず論理的に話すのがルール。ゲストを招くなどして話題は随分広範囲だった。議論が白熱したらそれをさばきテーマに沿わせるのは司会の役目。終わるのは11時近くだった。閑静な住宅地でのこと。近所の人たちはよく受け入れてくれたものだ。たまに帰国すると日本の友人たちを招いて東京で報告会を行った。振り返ると、この日本での会の議論を通じて米国への理解が深化したと思う。
日本へ完全帰国した後、報告会に参加した友人らから「その会を日本でもやろうよ」と声が上がり、今も月1回の勉強会を続けている。さすがに自宅ではできないが、区の生涯学習館が各地にあり格安で使える。しかもプロジェクターからマイクまで設備が整っている。コロナ禍の期間はZoomに切り替えたが、これで、長野県、山口県の防府、神戸など遠隔地からも参加可能になった。6月例会で139回になる。勉強とはいえ楽しいから続くのだが、今につながるロサンゼルスでの28年間の体験は、私にとって非常に貴重なものだった。(若尾龍彦)
