人生山あり谷ありというが、わが家は14年前、悪質なローンサービス業者による住宅ローン詐欺に遭い、マイホームから立ち退き寸前となる試練に直面したことがある。こちらは毎月返済の小切手を送っているにもかかわらず、サービス業者側は受け取っていないと主張し続け支払い滞納を捏造(ねつぞう)し、差し押さえを迫る手口だった。
正当性を訴えるわが家とローンサービス業者とのやりとりは10年近くも続き、この手口で泣く泣くマイホームを手放した被害者もいた。幸いなことに私たちは良心的な弁護士と出会え、この弁護士を通じて圧力をかけるとローンサービス業者はようやく引き下がり、返済条件変更の交渉に応じ始めた。
リーマンショック後の住宅ローン危機が深刻化していた当時、われわれ庶民の声となり、住宅の不当な差し押さえなどに関与した大手銀行や悪質なローンサービス業者を取り締まったのが、カリフォルニア州の司法長官を務めていたカマラ・ハリス氏だった。ハリス司法長官は、再発防止に向けたモニター制度の新設や住宅ローンをめぐる規制の強化、不当な差し押さえの被害にあった住宅所有者への現金の支払いを実現させ、2013年には州民を守る「カリフォルニア州住宅所有者権利章典」を導入した。
加州金融局は2020年、わが家を被害に遭わせたローンサービス業者に対して被害者らが起こした州法と連邦法違反の申し立てへの解決策として、和解金の支払いを提案。全米の被害者数は約11万人で、そのうちカリフォルニア州の被害者は5万人以上だった。
先日、ハリス大統領候補の応援に駆けつけたオバマ元大統領が、ハリス氏が司法長官時代、世の不正を正すため1ミリもひるむことなく当時のオバマ大統領に訴えた正義感に満ちた姿を回顧するのを聞き、住宅ローン詐欺のことが思い浮かんだ。ハリス氏は選挙運動で、ミドルクラスの移民家庭で育った自身の生い立ちをたびたび口にするが、これらの経験があるからこそ庶民の目線で悪事を暴くことができたのではないだろうか。
大統領選挙まであと1週間。米国を前進させる新大統領の誕生に期待が膨らむ。(平野真紀)
