
小東京で約70年間にわたり愛されてきた「みつるすし&グリル」が、8月31日をもって閉店することを発表した。
独自の和洋折衷料理で人気を博した同店は1958年、同じ場所で営業していた「共同薬店」内の軽食コーナーとして、創業者の花牟禮守(はなむれ・まもる)さんと姉によって開業。以来、本格的なすしバーに加え、スパムやソーセージ、ハンバーガーといった朝食用の肉と日本のご飯を組み合わせた朝食セット「ガチャ」など、多彩なメニューで人気を集めてきた。

「この店は約70年にわたり小東京の人々が集う場所であり続けた」と語るのは、小東京コミュニティー評議会(LTCC)のクリスティン・フクシマ事務局長。「日米の料理を融合させたこの店は、まさに私たちのコミュニティーの象徴だった。多くの団体がここで会合を開いてきた」。
花牟禮さんによると、日本にいる家族は料理や食品加工に携わっており、渡米後、初代移民(1世)が多く行き交い、日本語が飛び交う小東京に自然と居場所を見つけたという。薬局の移転で店舗全体を引き継ぐ機会が訪れ、飲食店経営への転換は迷いのない選択だった。花牟禮さんは料理長として腕を振るい、店をブース席やテーブルを備えた本格的なレストランへと拡張し、最終的にはすしバーも導入した。
これまでにも店の売却を模索してきたが、今回は成立に至った。花牟禮さんは「複雑な気持ちだが、妻のドラも私もまだ元気だし、彼女にはこれまで毎日私と一緒に働いてもらってきた。これからは彼女をいろいろな所に連れて行きたい。できれば釣りも再開したい」と話す。
店舗はリトル・アキハバラ・ホールディングス社が新たに設立した飲食運営会社「Jポップ・カルチャー・カフェ社」に引き継がれる。花牟禮さんは「新しい会社が手掛けることはこれまでと違うが、小東京にとって良い方向になると信じている」と期待を寄せる。
Jポップ・カルチャー・カフェの共同創業者で、リトル・アキハバラ・ホールディングス社長兼CEOの山本信之さん、およびアニメジャングル社長で同ホールディングス共同創業者の塩田哲也さんは、この事業継承を8月のLTCC定例会で発表した。
山本さんは花牟禮さんと友人関係を築いたことで、小東京を育ててきた先駆者の苦労や、日本人コミュニティーへの深い愛情について多くの話を聞かせてもらったと言い、「これからは、花牟禮さんや小東京全体の精神を受け継ぎ、この地域の繁栄に貢献していきたい」と述べた。
山本さんの新事業の目標の一つは「小東京を日本のサブカルチャーの発信拠点にする」ことだという。「私たちは日系コミュニティーの一員として、小東京の店舗や歴史をどのように守っていけるか、常に考えてきた」と、日系文化の継承と発信の一助となることを強調した。
新店舗はJポップ・カルチャー・カフェ社によって運営され、2026年にレストラン営業を再開する予定。
閉店について、フクシマ氏は「たとえ『みつる』が幕を下ろすことになっても、リトル・アキハバラ・ホールディングスのようなパートナーが新しい形で小東京とつながる店を作ってくれるのは喜ばしいことだ。LTCCとしても来年のJポップ・カルチャー・カフェの開店を楽しみにしている」と述べた。
次号では、クリス・コマイ氏による「みつるすし&グリル」の歴史を振り返る特集記事を掲載予定。
