このところトランプ政権が米国史の「見直し」を進める中で、特にマイノリティーの歴史が軽視されたり、変更されようとしたりする動きが目立つ。そうした状況下、ロサンゼルス近郊のモンロビア市に新たに建設される公園に日系の名が冠されることになったのは、日系の歴史を伝えるための貴重な努力として高く評価したい。
モンロビア市にはすでに、同市初の黒人警察官や、公民権運動に貢献したヒスパニック系女性の名を冠した公園がある。今回新たに日系人の名が選ばれた理由の一つは、日系人が同市の農業の発展に大きく貢献したという事実だった。
公園名を決めるため公聴会や市議会での検討が重ねられ、常石覚氏が選ばれた。市は当初、日系人の地元農業への貢献を焦点として市立高校初のアジア人卒業生だった常石氏が人選されたが、検討が進む中で、第2次世界大戦中に常石氏を含む日系人が収容所に送られたという歴史に関心が集まった。常石氏の4人の息子が米軍兵士として従軍した事実が明かされた際には、市議席から驚きの声も漏れた。こうした協議を通じて、地域の歴史や文化的な背景が深く掘り下げられていった。
常石氏の孫も、つらい記憶を語り継ぐために協力した。討議の中から、園内に常石氏の個人史と日系史を刻んだ壁画を設置することも決まった。この過程では、詳細な調査をした市コミュニティーサービス局の貢献が大きかったと思う。計画されている小さな図書館では、常石氏が収容所内で俳句を指導していたことや、そこで作られた句集が展示されることも検討されている。こうした一連の市議会の動きに、私自身、襟を正されるような思いがする。
ここにきてトランプ政権は、スミソニアン博物館やアフリカ系米国人歴史文化博物館など八つの施設に対して展示内容の調査を行い、必要な場合は修正を求めると発表した。このような時に、人口4万足らずの小さな市の公園に、日系史を刻む壁画ができる。毎日多くの人が訪れる場所である。この壁画が、人々にとって将来起こり得るかもしれない歴史の誤った「修正」の動きに気付くための一助となることを願っている。(長島幸和)
