さわやかな初秋の気温が戻ってきた10月初め、ロサンゼルス、サンフランシスコ、デンバーなどから、ゴーフォーブローク全米教育センターのプログラム「トーチ・ベアラー」に参加する若い代表たち20数人が、秋の全米集会の開催地シカゴに集まった。団長は同センターのCEO、ミッチェル・マキ氏である。
プログラムが終盤に近づいたころ、最後の食事は餃子パーティーを企画しているのだが手伝ってもらえないか、と声をかけられた。
若い人たちと一緒に料理をするのも良かろうと引き受けたが、全員で餃子を作り、一緒に食べるという。全員参加が前提で、特にレシピはなく、誰が何をすると決まっているわけでもない。ふと「船頭多くして、船、山に登る」という言葉が頭に浮かび、不安になる。
そろえられた材料は、ベジタリアンからビーガンまで細かく配慮して、タンパク質はポーク、チキン、豆腐、大豆由来のチキンもどき、と多種多様。時間になると参加者がワッとキッチンに押し寄せ、調理台の上に並んだ食材に一斉に手が伸びた。
「ちょっと待って! まず手を洗いましょう。それから野菜を洗ってくれる人とそれを細かく切ってくれる人…」。思わず声が大きくなる。一番心配なのはベジタリアン用の食材を豚肉や鶏肉とはっきり分けておくこと。それを言った途端に1人がポストイットに材料をメモして、手際よく貼り付けていった。
味付けは丁度良いのもあれば、ちょっとごま油が入り過ぎもあったが、とにかく具はできあがり、別のテーブルに運んで皮に包んでゆく。これが一番楽しい作業のようだ。
後はフライパンを総動員して200個の餃子を焼き始める。
キッチンは弾けるような笑い声と若者の熱気でムンムンしており、やっと食事が終わって後片付けが始まったが、これも全員で分担して、手際よく進められた。
「では、シニアはこの辺で…」と帰り支度をしながらふと見ると、マキ団長が自らほうきを手にして床掃除をしていた。
よほど代わろうかと思ったが、その姿に真のリーダーの品格を感じ、私は黙って建物を後にした。
この団長が指導する若者たちなら、きっと近い将来、日系社会を支える頼もしいリーダーとなってくれるに違いない。(川口加代子)
