世界が注目する「2026FIFAワールドカップ(W杯)」が11日に開幕した。米国、カナダ、メキシコの3カ国で共催される今大会の見どころを、スポーツエージェントの林賢冬(けんと)さんが紹介するとともに、日本代表が1次リーグF組で対戦する3チームを分析し、大会を展望する。

林賢冬さん(左)と、林さんのエージェンシーに所属する元日本代表でLAギャラクシーの山根視来選手。LAギャラクシーが2024年にリーグ制覇を果たした際の優勝トロフィーと共に写真に納まる

 林さんは現在、アーバインを拠点にサッカー選手5人を抱えるスポーツエージェンシー「MXTO」(ミクスト)を経営している。W杯の開幕に合わせ、日本代表が最終調整を行うベースキャンプ地、テネシー州ナッシュビルに入り、裏方としてチームをサポートしている。林さんは日本代表が目標に掲げる初優勝を「見てみたい」と期待を寄せている。

3カ国共催の魅力

 W杯の参加国が前回までの32から48チームに増えたことで、さまざまな国のサッカーを見る楽しさが増えた。各国の代表チームは、米国、カナダ、メキシコのベースキャンプ地で練習しており、それぞれの地では各国の仕上がりを確認できる。ファンも練習を見学し、選手にサインをもらったり、一緒に写真撮影したりすることができる。それぞれの試合開催都市では、FIFAが主催するファンフェスタが催され、大会は否が応でも盛り上がる。米国在住のファンは、試合開始時間の時差が最大で3時間なので、前回のカタール大会のように深夜や早朝にテレビ観戦する必要がないのもうれしい。

今大会の難しさ

 W杯は1カ国開催が原則で、これまでは1国内で全試合が行われ、試合会場の近くにベースキャンプ地があったので、問題はなかった。しかし、今大会は異なる。3カ国開催の今大会は試合会場が国境を超え広範囲にわたるため、移動距離が非常に長く、長時間の移動による疲労、そして時差も選手の調整に影響することは間違いない。選手は今まで経験したことのない適応力が求められ、さまざまな不慮の事態に対応しなければならないだろう。他のどの国際大会よりもストレスが大きくなるので、忍耐力が試される。長丁場の大会だけに、けが人が出ても戦える選手層の厚いチームが勝ち残るだろう。

優勝争いの中心

 優勝候補には前大会を制したアルゼンチンをはじめ、力のある数カ国が挙げられる。自国開催の米国、欧州では1次リーグ初戦で日本と当たるオランダ、南米の強豪国なども勝ち上がってくるだろう。日本は十分に優勝を狙える戦力を備えているので、日本の初優勝を期待している。

最も注目の選手

 世界屈指の選手が出場する中で、注目の選手を1人挙げるとすれば、もちろんアルゼンチン代表のリオネル・メッシ(マイアミ)。経験豊富なベテランにとっても今大会は長距離移動も含め負担が大きいが、年齢を重ねた今でもテクニックは世界一なので、チームを引っ張っていくだろう。サッカー大国アルゼンチンは選手層が厚く、ミッドフィルダーのニコ・パス、フォワードのフリアン・アルバレスなど大物がいるが、その中心はメッシだ。

 日本にもチャンス

 4年に1度の世界最高峰のサッカー大会だけに、ハイレベルの戦いを見る機会を逃してはならない。試合で何が起こるかは、誰にも予想ができない。前回のカタール大会で、日本が格上の強豪ドイツとスペインを倒したことを考えれば、世界ランキングは単なる数字に過ぎない。

史上最強の代表26人

日本代表

 8大会連続8回目出場。FIFAランキング18位。優勝を目標に掲げる。過去の大会では16強が最高成績だが、この4年間でドイツ、スペイン、ブラジル、イングランドの優勝経験国を破ってきた。今回は8強を十分狙える戦力を備えており、これまでで最も優勝に近い26人がそろっている。ほとんどの選手が欧州リーグのトップクラブでプレーしており、場慣れしているので、W杯の大舞台でも物おじしない。経験が豊富で、10年前の代表メンバーとは全く異なる。鍵となる選手は、オランダリーグで得点王に輝いたFW上田綺世(フェイエノールト)。

世界屈指の選手を擁す

オランダ代表

 2大会連続12回目出場。FIFAランキング7位。準優勝(1974、78、2010年)3回のオランダは初優勝を狙う。メンバーはDFフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)をはじめ、欧州各国の主要リーグで活躍するタレントぞろい。世界屈指の選手を擁し、優勝候補に挙げられるのもうなずける。日本にとって手強い相手だが、このオランダとの1次リーグ初戦が非常に大事な一戦になる。オランダの選手は長身でフィジカルが強く、中盤のフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)の個人技も警戒しなければならない。鍵となるのは、DFファン・ダイクとMFデ・ヨングの2人。欧州特有の攻撃型のサッカーに対し、日本は守りを固めた総合力で対抗する必要がある。

堅守が持ち味

チュニジア代表

 3大会連続7回目出場。FIFAランキング44位。アフリカ予選では10試合で無失点と堅守が持ち味。主力選手がドイツリーグで活躍するなど、日本にとってあなどれない相手だ。MFのハンニバル・メジブリ(バーンリー)、エリス・スキリ(フランクフルト)、FWモハメド・エリアス・アシュリ(コペンハーゲン)の活躍が鍵となる。日本にとって絶対に落としてはならい一戦であり、20日のチュニジア戦はW杯本大会にとって通算千試合という節目にもなる。

日本にとって強敵

スウェーデン代表

 2大会ぶり13回目出場。FIFAランキング38位。準優勝(1958年)1回。欧州予選では苦戦を強いられたが、プレーオフで立て直し勝ち上がってきた。欧州リーグで活躍する選手が多く、日本にとって強敵だ。チームの要はFWビクター・ギェケレシュ(アーセナル)と、身長190センチのアレクサンドル・イサク(リバプール)の2選手。日本は、スウェーデンがオランダ、チュニジアと戦う2試合を分析することができるので、しっかりと対応して勝ちたい。

自国開催が強み

米国代表

 2大会連続12回目。FIFAランキング38位。最高成績は1930年大会の3位。FWクリスティン・プリティッシ(ACミラン)がチームの要だ。スピードのあるサッカーを展開するのが特徴で、しっかり守りながら、前線の選手を走らせて得点を狙うスタイル。自国開催の強みを生かしたい。

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