
バレーボール女子日本代表で、現在米女子プロバレーボールリーグ「リーグワンバレーボール(LOVB)」のソルトレークに所属する小島満菜美選手と、バレーボールを通じた日米交流を目指して昨年シカゴにNPO「K2 Globe Athlete」を設立した元女子バレー日本代表のケンジエラ(旧姓・川上)佳奈さんによる小中高生を対象にしたバレーボールクリニックがこのほど、2日間にわたりサンゲーブルバレー拠点のクラブチーム「ストームブレーカー」のジムで開催された。 (平野真紀)

クリニックは、日本流のトレーニングを前面に打ち出し、各セッションで「ストームブレーカー」に所属する男女約30人を対象に、ともにリベロの小島選手とケンジエラさんがディフェンスを中心に指導した。内容は、基礎スキルの練習から、敏しょう性・フットワークの訓練、サーブレシーブ、スリーメン練習など多岐にわたり、ジムは熱気に包まれた。連日のクリニックで声を枯らしながらエネルギッシュに主導したケンジエラさんは、小島選手の説明を英語で参加者らに伝える役割も務め、時には質問を投げかけながら丁寧に指導。子どもたちは真剣な表情で練習に取り組んでいた。
小島選手は、ボールに対する体の向きや膝を曲げる角度など、参加者一人一人のフォームを観察しながら細かく指導。次のプレーで改善されると、声をかけて共に喜ぶ姿が印象的だった。小島選手は、「日本人の良さは地味な練習も繰り返しやる忍耐力。一方で、アメリカの子は失敗を恐れずにやろう、トライしようという精神がある。ポテンシャルがすごくあると感じる」と指導の手応えを語った。

ケンジエラさんは、U―18とU―23の日本代表を経てスイス一部リーグで優勝するなどリベロとして活躍した後、7年前にシカゴに移住しバレーボールの指導に携わってきた。「ロサンゼルスにはクラブチームも多く子どもたちの学ぶ意欲が高いが、クラブチームでは試合形式の練習が主流で、コーチから直接指導を受ける機会があまりないように感じる。細かい点まで説明する日本流のクリニックでさらなる理解を深めてほしい」と話した。
ケンジエラさんは、17歳でU―18日本代表に選抜され多くの海外遠征を経験し、アジア選手権では個人賞を受賞したことで、将来は海外でバレーボールがしたいと思うようになったという。「K2 Globe Athlete」では、日米間でバレーボール選手や指導者の交流も行い、技術の向上のみならず、若いうちから国際感覚を身に付けることや、人間的な成長の手助けも目指す。

今回のようなバレーボールクリニックを、今後はロサンゼルスで月に1回のペースで開催する予定で、選手の成長を見続けるのを楽しみにしていると話すケンジエラさん。「ロサンゼルスで、1人でも多くの選手と触れ合いながらきちんとした形でトレーニングをやっていきたい。日本からも小学生から高校生まで、若いうちからもっと気軽にアメリカに来てバレーボールができる環境作りを目指している」と語った。
クリニックに参加したペネロペ・ウォングさん(12)は、同クラブでプレーして4シーズン目のセッター。当地で開催された「LOVB」の決勝戦をチームで観戦した時に、粘り強い守備でボールをつなぐ小島選手を見て大ファンになったと言う。「満菜美さんと佳奈さんの指導はとても細かく、私たちが上達するためのあらゆる部分にしっかり焦点を当てている」と述べ、小島選手に2度会えたことを喜んだ。高校のバレー部でプレーすることが目下の目標だと言う。

最近、野球からバレーボールに転向し、今はバレーの楽しさをかみ締めていると言うマーカス・ロレンゾさん(14)は、ひときわ真剣に指導に耳を傾けていた1人。日本生まれで日本語学校にも通っており、給水休憩時には小島選手らに駆け寄り日本語で自己紹介をする姿も見られた。「今回のクリニックは、バレーボールと自分のルーツの両方でつながりを感じたし、特にバレーを始めて1年目ということもあり、ぜひ参加したかった」と、目を輝かせていた。
LA五輪出場へ意欲
海外初挑戦の小島選手

小島選手は2022年から日本代表に選出され、2 4年の「ネーションズリーグ」では銀メダルを獲得し、最優秀リベロ賞も受賞。24年パリ五輪にも出場し、今年のアジア選手権では銅メダルを獲得した。25年に発足した「LOVB」のソルトレークで自身初となる海外挑戦をスタートさせ、同年リーグ最優秀リベロ賞を受賞する活躍を見せた。
戦術はもとより日米バレーの大きな違いを実感する日々の中、「細部にこだわったり、完璧を目指す日本バレーの良さも再確認した」と話す。同時に、日本人でも米国人でも超一流の選手には共通する考え方があることも学んだという。
練習の1時間前には体育館に行き入念にウォームアップをすることから、チームメートに驚かれると話す小島選手は身長158センチ。「小っちゃいぶん、しっかり準備をして100%の力を出せるようにすることが大事だと思っている」と、活躍の裏にある努力家の一面を垣間見せた。
小島選手は、まずは今シーズンに所属チームで優勝することを目標に挙げた。そして、28年のロサンゼルス五輪に向けては、「個人として代表になりしっかり切符をとって、ゆかりあるアメリカの地でのオリンピックに出場できるように個人でもチームでも頑張りたい」と意欲をみせた。
「LOVB」は、米国初の大型女子プロリーグとして25年に発足し、「バレーボールを次のメジャーリーグに」がスローガン。リーグには現在、全米各地の10チームが参加し、米国選手を中心に五輪メダリストもプレーする。日本人選手では小島選手の他に、井上琴絵(ロサンゼルス)、岩澤実育(マイアミ)、蓑輪幸(サンフランシスコ)の各選手が在籍する。

