書道吟を披露する(左から)岩倉さんと小笠原さん。フルートが伴奏した

 吟道加州朗詠会主催の「日本伝統芸能文化祭2026年度秋季大会」がこのほど、トーレンスの都ハイブリッドホテルで開催された。詩吟のほか、書道「文化書道米国連合書道」、長唄「みのり会」、沖縄舞踊「宮城流能松会」、日本舞踊「髙月流寿華会」、また、伊勢や大福の落語など、多彩な日本の伝統芸能が華やかに披露された。同時に熊本地震支援募金も行った。在ロサンゼルス日本総領事館が後援。

書道の実演。行書(左)と楷書

 大会の総合プロデューサーを務めたのは、吟道加州朗詠会本部理事長の前田龍清師。伝統芸能の各団体が会員の高齢化や後継者不足という共通の課題を抱える中、分野を超えて協力し、それぞれの魅力を広く伝えることを目的に開催した。前田師の発想と熱意、そして開催に至るまでの並々ならぬ努力が毎年、この盛大な大会を支えている。

 壁には書、そして会場には丸テーブルがゆったりと配置され、落ち着いた、どこか格調高い雰囲気が漂い、これから始まる伝統芸能の祭典への期待を高めた。舞台の出演者は日頃の研さんの成果を次々に披露。詩吟では30人を超える吟士が出演し、堂々とした吟声を響かせた。詩吟第4部では構成吟「花の詩」で梅、水仙、桜、菊など花にまつわる8吟を披露した。

 声と筆が共演する書道吟では、文化書道米国連合会会長で詩吟尚道会の岩倉国寿師が七言絶句「富士山」を吟じ、文化書道ベニス支部の小笠原華石師が大筆を振るった。吟に合わせて筆を進め、終吟とともに作品を仕上げる息の合った演技で、二つの芸術が織りなす魅力を伝えた。

 沖縄舞踊では、華やかな民族衣装が際立った。詩吟の厳粛な世界とはまた異なる、南国特有の色彩と優雅な動きは、日本文化の多様な側面が紹介された。また、落語では伊勢や大福さんは「厩家事」を披露。巧みな話芸で会場の笑いを誘った。

沖縄舞踊のパフォーマンス

 長唄では「雛鶴三番叟」、そして「勧進帳」が約 25分にわたって演奏された。「旅の衣は篠懸の」の一節から始まり、唄とはやしが緩急を交えながら展開。唄い手とはやし方が呼吸を合わせ、長年の修練に裏打ちされた掛け合いを繰り広げた。磨かれた技が、舞台の上で一つになる。日本伝統芸能の奥深さを印象付けた。

 異なる分野の芸能が一堂に会した今大会は、日本文化の多様さと奥深さを紹介するとともに、その魅力を次世代へつなぐ機会となった。

 尚道会に入会し詩吟を始めて2年目の近藤敬さんは、日本伝統芸能については初心者で、今回初めて同大会を鑑賞し、「日本伝統芸能の奥深さを実感した。異なる芸能が協力し、その魅力を次世代へ伝える催しとして、同大会がロサンゼルスで末永く継承されることを願いたい」と語った。

 前田龍清師は大会を振り返り、「今年は150人を超える来場者をありがたく迎えた。1992年に始まり13回を数える同大会は、毎回行ってきた義援金募集も含めて意義ある活動をしている」と述べた。「会員は、日々の芸の習得を通じて人間力を磨き、他人を思いやるという大切なことを学んでいる。日本から遠く離れたロサンゼルスで古典芸能を学ぶ6団体の会員は、日本の伝統芸能文化を継承し、米国における対日理解の促進に貢献していると自負している」と語った。

構成吟を終え、あいさつする発表者
長唄の演奏を楽しむ来場者

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です