四季の差があまりないロサンゼルスでは、季節の料理は味わえないということをよく聞く。しかしである。ロサンゼルスに限らず、アメリカは移民の国、各国のおいしいものを本場の味でいただけるのが嬉しい。
ガイド本を参考に行くレストラン、確かにおいしいが、味が濃かったり油っぽかったり広すぎて落ち着かなかったり高かったり…。
各国料理はその国出身の人に聞くのが一番。安くておいしい店を教えてくれる。当たり外れが大きい飛び込みもおもしろい。
毎年行く所得税申告の会計士さんの近く、ちょっと時間があったので入ったタコスの小店。なんと黒人の、肝っ玉母さんといった感じのオーナーらしき女性が注文取りとキッチンを担当。ホーレンソウや椎茸をアレンジした料理、デザートもお手製で、メキシカンフードというより彼女の家庭料理といった感じ。馴染みのお客もヒスパニック系、黒人がいて、お持ち帰りを待つ間雑談を交わす。僕らのようなお門違いがいても気にならないようだ。おいしい物の前には人種偏見なんてないみたい。
ふらりと入った地中海料理レストラン。カバブや焼きトマト、自家製バクラバも甘味控えめでシナモンたっぷり、うまかった。
人を待っている間に入ったタイ料理店。なじみのパッタイなどのメニューの中に炒麺を見つける。以前、わが家の近所の中華料理店が出していた炒麺が好きで、彼らが移転したあと、他の中華料理店に行けば必ず炒麺を試すが、麺が細かったりベトベトだったりでがっかり。この店のはちょっと甘いが好みの太麺、強火でシッカリ炒めてあり上出来。もちろんタイ料理は大いに満足。
看板に釣られて入った韓国料理店。海鮮スンドブを頼んだらダシも出ないほどに具がちょっと。看板の写真にはあんなにたくさん入っているのに、ブツブツ…ということも。
大上段にこの店は一流などとは言わないが、安くておいしいお店が無くなると困るから、友人知人に紹介している。もっとも、彼らがおいしいと思うかどうかは別だが。【徳永憲治】