同大会は野球を全世界に正しく普及させ、野球を通して世界の子どもたちの友情と親善の輪を広げることを目的に始まった。記念すべき第1回大会はロサンゼルスのUCLAジャッキー・ロビンソン・スタジアムで開催。その後、日本、米国をはじめ、世界85の国と地域からこれまでに4700人以上の11歳と12歳の少年・少女たちがこの国際イベントに参加してきた。
王氏がアーロン氏と知り合ったのは今から30年ほど前、缶コーヒーのCMで共演したのがきっかけだった。「子どもたちに野球の素晴らしさを伝えるため、将来何かできないか」と話したところ意気投合。その後、王氏がユニホームを脱いだ時、あらためて話を持ちかけ、大会が実現した。
アーロン氏は提案を受け、「子どもたちに野球の楽しさを伝える素晴らしい機会になると確信した」と当時を振り返る。
授賞式では昨年の台湾大会に参加したテイラー・パネルさんがスピーチに立ち、「世界各国から同世代の子どもたちが集まりたくさんの友達ができた。たとえ言葉が通じなくても野球を通して心を通い合わせることができた」と思い出を語り、1週間のプログラムで得た貴重な体験を発表した。
王氏は「テイラーさんの言葉が私にとってすべて。同大会を続けてきて本当に良かった」と大会の意義をあらためてかみしめた。
「大人の仕事は子どもたちに良い環境を与えること。幸い私は野球を経験してきた。今度は子どもたちに野球を楽しむ場を与えることが使命だと感じた」と語り、およそ20年にわたり同大会の陣頭指揮をとってきた。
「子どもは世界の宝。大会を通して子どもたちの笑顔をひとつでも多く増やしていけるよう、今後も発展に協力してきたい」と力を込める。
新美総領事は、「日米のホームラン王が世界中の子どもたちに野球の楽しさを伝え、感動を与えてきた。子どもたちにとってこの経験は生涯決して忘れることのない思い出になるでしょう」と述べ、両氏の尽力をたたえた。
大会の創設者の1人で昼餐会を主催した阿岸明子氏は、王氏とアーロン氏のこれまでの尽力とリーダーシップに感謝の意を表するとともに、今年三重県で行われる大会に向け気持ちを新たにした。【吉田純子、写真も】