カリフォルニア州立大学(CSU)評議会の特別委員会は8日、同大学機構の学長の給与引き上げに関する規則を改定し、今後2年間、同大学機構23校で新たに就任する学長の給与を引き上げる際は、州民からの税金ではなく、民間が運営する大学基金を利用して最大10%まで引き上げられる案を承認。9日行われた評議員本会議でも同案は承認された。
 加州では赤字財政の解消策として、教育関連予算が削られ、授業数の削減や教員解雇、教員の無給休暇が実施される一方、授業料は年々上昇。各校では学費引き上げに反対する学生らが抗議デモを行うまで事態は深刻化していた。
 そんな中、昨年7月、同評議会はCSUサンディエゴ校の新学長に対し前任者より10万ドル多い40万ドルの給与を支給する反面、学生の授業料を12%引き上げる案を承認。さらに追い打ちを掛けるように、今年1月に行われた会議では、CSUフラトン校の学長に就任が決まったドミンゲスヒルズ校のミルドレッド・ガルシア学長には基本給として32万4500ドルのほか、住宅手当として30万ドル相当の8寝室住宅を用意した。
 また、CSUイーストベイ校の次期学長、レロイ・モリシタ氏の基本給も前任者より10%増しの30万3660ドル。報酬に加えて自動車手当が年間1万2000ドルと年間6万ドルの住宅手当も支給された。
 こうした学長への破格の給与には、加州のジェリー・ブラウン知事やトーラクソン教育長をはじめ、学生や教職員たちは猛反発している。教職員、図書館司書らおよそ2万4000人が加盟するユニオン側は先週、今年秋学期に2日間にわたるストライキ実施を賛成95%で承認、学長らの高過ぎる俸給やベネフィットの見直しと授業料引き上げに反対していく姿勢を強めている。
 一方批評家たちからは、「評議会の決定は、学生やその家族の負担に配慮するよりも一部の幹部管理職の特別待遇の確保を約束したようなもの。民間基金から寄せられる資金といえども、授業料の引き上げを抑えたり、授業時間の増加や入学者を増やすために使われるべきだ」とする意見がでている。