2008年の住民投票で可決されたカリフォルニア州の高速鉄道計画で加州下院は5日、45億ドルの州公債発行を含む約80億ドルの予算案(SB1029)を51対27で承認。翌日6日には上院でも21対16で承認され、鉄道建設に大きな一歩を踏み出した。
承認された予算案の内訳は、住民投票で可決された26億ドルの州公債発行に、北加と南加の地域鉄道整備基金の19億ドル、また連邦政府からの予算32億ドルを合わせた総額77億ドルで、セントラルバレー地区のマデラからベーカーズフィールドまでの全長130マイルにおよぶ第1期工事に充てられる内容。
共和党議員ら反対派は、膨大な財政赤字と高い失業率に苦しむ加州にとって、同計画は「無駄な事業」であると主張。ジム・ニールセン下院議員(共和、ガーバー)は、「関係者や支持者は、乗客数や工事費用など、しっかりとした数字をいまだ提示していない」と反発した。
一方同計画を支持、推進する民主党議員らは、同計画により加州にもたらされる雇用や利便性などといった利点を強調。ボニー・ロウエンタール下院議員(民主、ロングビーチ)は、「議論や調査の段階は過ぎた。もう着工する時期にきている」と反対派を一蹴した。
加州のジェリー・ブラウン知事は下院の予算案承認を受け、歓迎する内容の声明を発表している。
同計画は総工費680億ドルをかけ、時速220マイルでサンフランシスコとロサンゼルス間を結ぶ鉄道事業。当初は420億ドルと見積もられていた総工費が一時980億ドルにまで膨れ上がり強い批判が出たが、ブラウン知事が総工費の大幅削減などを組み込んだ修正案を承認、680億ドルに縮小された。しかし、いまだ予算の大部分が不透明なため、反発の声は強い。
6月に行われた世論調査では、加州有権者の55%が同計画を行うか否かを再度住民投票で問うべきと答え、その場合、59%が反対すると答えている。